クリンチャー重賞初制覇 騎手好調、G1勝利狙う
2017年秋の菊花賞(G1、京都芝3000メートル)で2着と健闘したクリンチャー(牡4、栗東・宮本博厩舎)が11日の京都記念(G2、京都芝2200メートル)で重賞初制覇を飾った。G1馬4頭が出走した高水準のレースで結果を残した同馬だけでなく、騎乗した藤岡佑介騎手(栗東)、管理する宮本調教師もここまで好調だ。人馬ともに飛躍の1年となるかもしれない。
京都記念は10頭立てと少頭数ながら、日本ダービー馬レイデオロ(牡4)、皐月賞を勝ったアルアイン(同)、エリザベス女王杯優勝のモズカッチャン(牝4)、秋華賞馬のディアドラ(同)と17年にG1を勝った4頭を含む、豪華な顔ぶれで行われた。先行集団の内柵沿いからレースを進めたクリンチャーは最後の直線で馬群の間から抜け出してきた。2着アルアインに1馬身差をつける快勝だった。
クリンチャーは瞬発力よりも息の長い末脚を武器とするタイプ。これまでは早いタイミングで仕掛けていき、早めに先頭に立つ競馬で好走するケースが多かった。今回は最後の直線だけで追い上げ、先頭に立ったのはゴール直前。「今までと違うパターンで、よく応えてくれた。(馬が)差し切ろうという意欲を見せてくれた」と藤岡佑。雨の影響で得意の重馬場になったことも味方したのだろうが、充実期の4歳を迎え、進化した姿を見せた。
藤岡佑も今年は18日までに16勝を挙げるなど好調だ。昨年は年間36勝。今年は1カ月半あまりで昨年の4割超にあたる勝ち星を重ねており、京都記念当日も同レースを含めて4勝を稼いだ。レース後には「きょうはリズムよく乗れた。これが当たり前となるように頑張りたい」と語り、今後の活躍を誓った。
宮本調教師も今年すでに7勝を挙げ、昨年の12勝を超えそうな勢いがある。勝ったレースのレベルも高く、1月8日にノーブルマーズ(牡5)、同21日にニシノラッシュ(牡6)、2月4日にはウインソワレ(牝6)が立て続けに1600万条件戦を勝ち、そろって最上級であるオープンクラスへの出世を果たした。
3カ月半の休養明けで京都記念に臨むクリンチャーについて「初戦からいい状態で送り出せる」と自信を示していた同調教師は「レースを使って良くなるタイプ。京都記念の後にさらに上向くのでは」と期待を込めていた。宮本調教師、藤岡佑ともに中央のG1未勝利。クリンチャーの成長次第では悲願に手が届く可能性もある。
(関根慶太郎)