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タワマンでマンション供給独走 住友不の逆張り戦略

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不動産経済研究所(東京・新宿)が21日に発表した2017年の新築分譲マンション供給戸数(全国)で住友不動産がトップとなった。14年以来4年連続だ。けん引したのはタワーマンション(タワマン)。「いったい誰が住む」。こう揶揄(やゆ)され続けたタワマンが今では住友不動産を支える。

7177戸――。「これだけの数字を出せるのは住友ブランドが消費者に認知された証拠」(住友不動産の小林正人副社長)。確かに2位のプレサンスコーポレーションが5267戸。2000戸近い差は住友不動産の勢いを物語る。

ではその勢いの源泉とは……。それはタワマンにある。タワマンは20階建て以上の超高層でかつ大型のマンションのことだ。17年の住友不動産の売れ筋を見るとタワマンがずらり。「シティタワー」のブランドで売り出す300~600戸台の大型物件だ。

なかでも17年8月に販売を始めた臨海副都心部のシティタワーズ東京ベイ(東京・江東)はその筆頭格だ。有明テニスの森の東隣、最寄り駅まで徒歩3分、銀座までならタクシーで15~20分といった利便性が評価を受け1期分(400戸弱)は4カ月で売り切れた。第2期(300~400戸予定)を売り出す現在もモデルルームの昼の時間帯の予約は3月まで埋まる。

「タワマン=都心=高級」。今では簡単に解けるこの連想ゲームだが、当初は同業のデベロッパーの間でさえ「そんなものが売れるのか」と懐疑的な見方が支配的だった。

当然かもしれない。本格的なタワマン時代を切り開くことになったワールドシティタワーズはその典型。04年5月に売り出したが、最初の評判は散々だった。何しろ場所が場所だった。住所こそ人気のある東京都港区で交通の利便性はあるが、実際は京浜運河に臨む流通倉庫街。スーパーも病院も遠い。

そんなところで総戸数2090戸を販売するという。挑戦だった。記者会見では「値引きした方がいいのでは」「生活インフラがない。全部、売り切れるのか」といった声が相次いだ。

しかし、予想に反して売れた。一等地である「スリーA」(麻布、青山、赤坂)並みの利便性を持ちながら、1坪(3.3平方メートル)あたりの価格はスリーAの半分前後の約240万円に抑えた。07年3月にはマルエツが敷地内に進出することが決まり、第1期販売分(400戸)は発売当日に売り切れた。

クルーザー着岸

住友不動産ならではの仕掛けも追い風となった。例えば運河に面した桟橋。12人乗りのクルーザーが着岸できる。これも住友不動産でなければできなかった芸当だ。

敷地の東側は海、北側には公園。住友不動産はここに目を付けた。マンションの敷地を海と公園をつなぐ避難経路と見なしたのだ。

敷地の東側の堤防に桟橋を建設すれば、災害時に海路を使い公園にいる住民を避難させられる。この理屈で東京都や港区などと折衝、桟橋の建設とクルーザーの常備を可能にした。クルーザーは居住者の共有で、普段は居住者が自由に使える。

住友不動産のタワマンは面白い――。こんな評判が広まり、これに景気の回復と低金利が味方した。マンション価格は高騰、第1期発売時に1坪あたり240万円だったワールドシティタワーズの価格も07年ごろには300万円に上昇した。

「1期に購入した部屋が値上がりしたので売却し、同じワールドシティタワーズの広い部屋を再び買った。また値上がりすれば売却を検討する」(都内の大手企業に勤務する50代の男性)。好循環が始まった。

もちろんここまで来るのは簡単ではなかった。最も苦戦したのが土地の確保だ。タワマンの建設には大型の敷地が必要になるが、住友不動産にはそれがなかった。

理由はある。

もともと住友不動産の源流は住友本社。住友不動産は1949年、その資産管理会社として設立されたが、住友財閥の大半の資産は住友銀行(現三井住友銀行)と住友商事が引き継いだ。住友不動産に残されためぼしい資産は、たった3件しかなかったという。

だから住友不動産は自分で土地を見つけ、「つくる」しかなかった。他の大手財閥系のデベロッパーが手を出しにくい湾岸エリアにあえて土地を見つけ、タワマン開発に挑戦した理由の1つには、こうした自社の生い立ちがある。

それは非財閥系で金融機関のグループにも属さない森ビルと極めてよく似ている。大きな土地がなければ小さくてもいい。まず核となる土地を見つけ、それを育てるのだ。仕込んだ土地の隣地の地権者と粘り強く折衝し、そこを買収、さらに今度はその隣地を……。ジリジリ面積を広げ、最後に大通りにつながれば地価も利便性も上がる。

大通りがなければ路地を太らせる。敷地を供与し道路を拡幅、大通りに仕上げる。敷地の中に中庭をつくるなら、そこを一般の人にも開放、公開空地とする。行政と折衝、容積率をアップし建設できるタワマンの階層を上にあげていく。

どの役所のどの部署にそれを進めるためのボタンがあるか、他のデベロッパーが知らないそのボタンを住友不動産は熟知していた。

そしてもう1つ見落としてはならない点がある。オフィスが持つ抜群の収益力だ。

220棟超を所有

実は住友不動産はオフィスビルを決して売らない。2000年前後「持たざる経営」がもてはやされたとき、投資会社から住友不動産が持つ基幹ビルを「売ってくれないか」といった問い合わせが相次いだが、担当者は振り向きもしなかった。

「ビルは金の卵を産む大切なニワトリ」(住友不動産の仁島浩順社長)だからだ。不動産投資信託(REIT)に売却するようなことはしない。だから本体でしかも単独で持つ。賃料収入はまるまる住友不動産に入る。現在、建築中を含め東京で所有・運営するオフィスビルは全部で約220棟超、所有する延べ床面積はデベロッパーの中ではトップクラスだ。

このオフィスビルから得られる賃料がタワマンを開発する力となり、土地を育てる時間を生む。それは業績を見れば明らかだ。18年3月期の連結営業利益(予想)は住友不動産が2030億円。賃貸資産の売却益を除くと、三井不動産など他の大手デベロッパーをしのぐ水準だ。

時は流れ、今や住友不動産は大手デベロッパーの中でもトップクラスの「土地持ち」となった。首都圏や近畿圏に同社が持つマンション用地は約3万戸分で全く土地を仕込めなくても4~5年は仕事ができる。V5がすでに視野に入りつつある。

(企業報道部 前野雅弥)

[日経産業新聞 2018年2月22日付]

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