明滅するオーロラの発生の仕組み解明 東大など
東京大学などはオーロラの一種で夜空が淡く明滅する「脈動オーロラ」の発生のメカニズムを解明した。探査衛星「あらせ」による観測で突き止めた。地球を取り巻く宇宙空間の環境を深く理解するのに役立つ成果だ。英科学誌ネイチャー(電子版)に15日掲載される。
脈動オーロラは、カーテン状に明るく輝くタイプのオーロラが夕方から真夜中にかけて夜空を舞った後、朝方にかけて出現する。東大の笠原慧准教授らは、北極域の上空に脈動オーロラが出現しているとき、地球の磁場が及ぶ「磁気圏」という宇宙空間に存在する電子がどのような動きをするのかを詳しく調べた。観測にはあらせに搭載した装置を使った。
磁気圏の電子が大気の上層に向けて降り注ぐと夜空が明るくなり、電子が降りやむと暗くなることが分かった。こうした電子の動きは、磁気圏に生じる特殊な電磁波によってもたらされていることも解明した。これまでの人工衛星の観測で、脈動オーロラと特殊な電磁波に密接なつながりがあることは分かっていたが、両者を結びつける磁気圏の電子の動きはつかめていなかった。
あらせは2016年12月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が小型ロケット「イプシロン」2号機で打ち上げた探査衛星で、今回の論文発表が初の研究成果になる。