「東芝の再建は天命」 車谷新会長兼CEO
東芝の会長兼最高経営責任者(CEO)に4月に就く車谷暢昭氏(60)は14日午後、東京都港区の東芝本社で記者会見し「東芝の再建という大仕事を拝命することは1つの天命。全身全霊で取り組んで参りたい」と抱負を語った。会計不祥事と米原発事業の巨額損失によって経営危機に陥った東芝について「多くの世界初の技術を開発してきた素晴らしいDNAがある。そのDNAを、起業家魂をよみがえらせる」と話した。
東芝のコーポレートカラー、深紅のネクタイを身につけた車谷氏は緊張した面持ちで記者会見に臨んだ。1月に東芝の指名委員会から打診を受けて「迷わずに気持ちを固められた。(会長就任の打診を受けて)2~3日で決めた」と話した。指名委員会委員長の池田弘一社外取締役は車谷氏を「金融機関、投資会社での豊富な人脈、知見から東芝グループ事業全体の方向性、中長期的な事業戦略を見極められる人物」と評した。社外取締役4人で構成する指名委員会の全員一致で提案したという。
車谷氏は自身の役割について、「資本増強」、「事業ポートフォリオの見直し」、「企業風土改革」の3点を挙げた。その上で「綱川社長とともに顧客を積極的に訪問し、ベストの製品、ベストのサービスをタイムリーに提供し支持を得る。(経営トップは)最高の営業マンでなければいけない」と語った。
同席した綱川智社長は「4月以降は私と二人三脚で経営にあたる」と語り、「多様なステークホルダーとともに収益基盤を強化し、成長事業を育成するためには、これまで以上に外部の知見、視座を積極的に取り入れていく」とした。
元三井住友銀行副頭取で英投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズの日本法人会長を務める車谷氏は4月1日付で東芝会長兼CEOに就任する。綱川智社長は最高執行責任者(COO)を兼務する。車谷氏が中長期的な経営戦略を担い、綱川氏が業務執行を担当する。東芝は主力取引銀行出身で企業再建に加え、原子力発電事業にも通じる車谷氏を迎えて経営再建を確実にする。(企業報道部 細川幸太郎)