韓国ロッテ会長に実刑判決 朴・前大統領への賄賂認定
懲役2年6月 ソウル地裁
【ソウル=山田健一】韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領への贈賄の罪に問われて在宅起訴された韓国ロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン、重光昭夫)会長らの裁判で、ソウル中央地裁は13日、辛被告に懲役2年6月(求刑懲役4年)の実刑判決を言い渡した。辛被告は即日身柄を拘束された。
辛被告はロッテ創業者の次男。長男との後継者争いの末、日本でも菓子事業などを傘下に持つロッテホールディングス(HD)副会長として経営の実権を掌握している。日韓のロッテグループは司令塔不在となり、経営に影響が及ぶ可能性がある。
地裁の判決は、辛被告が免税店の運営権を韓国政府から取得するため、当時大統領だった朴被告の影響力に期待して、朴被告の友人の崔順実(チェ・スンシル)被告の財団に約70億ウォン(約7億円)を拠出したと認定した。「強要された結果で無実」とした辛氏の主張を退けた。
判決では辛被告と朴被告が2016年3月に非公式に個別に面会したことを重視。免税店事業に絡んで辛被告が朴被告に「暗に不正な請願をしたと認定することができる」と指弾した。判決に対し、韓国ロッテは「予想していない判決で当惑している。弁護士と協議して対応を決める」とコメントした。
辛被告は朴被告を巡る事件とは別に、創業家の不正資金処理に関する公判で、17年12月に懲役1年8月、執行猶予2年の判決を受けた。
ロッテ幹部は、米国や東南アジアで検討する新規事業の「投資判断が遅れる可能性がある」と話した。
ソウル地裁は同日、未遂分を含めて大手財閥から計230億ウォン以上の賄賂を受け取ったとして、崔順実被告には懲役20年の実刑を言い渡した。地裁は崔被告と朴被告が共謀関係にあったと認定した。朴被告自身の裁判にも影響を与えるとみられる。
朴被告を巡る事件では、贈賄罪などに問われたサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が一審で懲役5年の実刑判決を受けた。ただ二審では執行猶予判決になった。
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