記録的大雪、農作物に打撃 葉物の高騰続く恐れ
燃料不足も深刻に
日本海側を中心とする記録的な大雪と低温による影響が広がっている。農林水産省は13日、北海道や北陸などで500棟を超える農業ハウスと畜舎で損壊が発生したと明らかにした。ホウレンソウなど一部の葉物野菜は全国的な低温の影響で生育の遅れも出ており、野菜の高値が長引く可能性もある。降雪が続けば、国内経済への打撃は大きくなる。
「まずは被害状況を速やかに把握する」。斎藤健農相は13日の閣議後の記者会見でこう話した。積雪で被害状況の調査が進まない自治体も多く、全容判明には時間がかかるという。全国的な低温や降雪で、心配されるのは野菜の価格上昇。現在は昨年10月の長雨と台風、その後の低温で野菜の生育が悪化、価格高騰につながっている。
キャベツなどは今年1月中下旬になって価格が下がったが、大雪や寒波の発生で再び上昇する兆しが浮上している。2月第1週の東京・大田市場での卸値をみると、キャベツやホウレンソウ、ハクサイは前年同時期より9割高から2倍で取引されている。
都内スーパーではキャベツが1玉300~400円、ホウレンソウが1袋(約150グラム)200円前後。「葉物野菜は平年の3割高~2倍。昨年末に比べても1~2割高い」(スーパー、おっ母さん 食品館 北千住店の担当者)という。
ハクサイの主産地、茨城県では1月以降の降雪や低温で葉に傷みが発生。春に出回るハクサイも作付けが遅れている。今後の天候次第だが、JA全農いばらきは「出荷が本格化する時期が遅れるかも」と気をもむ。
大雪の影響をもろに受ける福井県では、ガソリンなど燃料の不足を懸念する声が強い。世耕弘成経済産業相は13日の会見で「供給不足の解消に向け全力で取り組んでいる」としたが、輸送の遅延などで営業を止めるガソリンスタンドも目立つ。西川一誠知事は企業に操業開始時間の繰り下げを求め、車の利用を控えるよう呼びかけている。
総務省は大雪被害が大きい自治体の除排雪費用などを特別交付税で支援する考えだ。特別交付税は自治体の緊急の需要に対応するものだが、総務省では「除排雪の費用は例年300億~400億円程度。今年はかなり配分額が大きくなる」とみている。野田聖子総務相は13日の記者会見で「十分な手当てをしていきたい」と強調した。