小平と高木美 頂上決戦 14日にスピード女子1000
ワンツーフィニッシュ期待
14日に行われるスピードスケート女子1000メートルは、小平奈緒(31、相沢病院)と高木美帆(23、日体大助手)の両エースがぶつかる頂上決戦となりそうだ。今季のワールドカップ(W杯)で世界新記録も出して4戦3勝の小平に対し、高木美もW杯3戦で2位が3度とピタリと追う。海外勢に目立ったライバルはおらず、スピードスケートでは五輪初となる日本勢のワンツーフィニッシュに期待がかかる。
刺激し合って世界のトップスケーターへと上り詰めた2人にとって、待ちに待った一戦といえるだろう。
昨年末に長野で行われた五輪代表選考会。同走の高木美に競り勝って1000メートルを制した小平は、心の底から喜んでいた。「国内でこんな贅沢な組み合わせはできない。また見に行きたいというレースができたんじゃないかな」。同じく同走となった1500メートルのレース前夜は「高木選手と滑れるということで、昨日の夜からどんなレースができるかワクワクして」と胸の高鳴りが抑えられないほどだった。
2010年バンクーバー五輪後、国内敵なしが続いた小平は、日本のスケート界の将来を案じる発言が少なくなかった。「競い合う相手がいることが大事。抜きつ抜かれつして日本のレベルは上がっていく」「世界で戦うためには、日本チームを高めていかないといけない」。ようやく願いがかない、高木美と対決すると、スケートを始めて間もない少女のように、楽しげな表情を見せる。
その小平に闘志をかき立てられてきたのが高木美だ。飛躍を遂げた16~17年シーズン。世界のトップを意識し始めたきっかけの一つがW杯開幕戦だった。1000メートルは小平が3位、高木美は4位。高木美は「そのときから表彰台を意識した。3番が奈緒さんで、日本人なら勝てるんじゃないかなと」。
勝負に無頓着な面があったが、そこから勝利を心から欲するようになってきた。母親から「素直に負けて悔しいとか、次は勝ちたいと言えるようになってきたね」と言われて、はっとしたこともある。後じんを拝してきただけにレースへの思いはひとしおだ。「尊敬する選手の一人でもあるし、小平選手がいることで、1000メートルに対しての思いはさらに上がっている。どうやったら勝てるか突き詰めたい」と気合十分だ。
主戦場の1000メートルのレースが近づいてきても落ち着き払った表情を見せ、7日の記録会や12日の1500メートルでも好タイムを連発した小平。片や高木美は10日の3000メートルで自分の滑りを見失いかけたが、12日の1500メートルでは集中力を取り戻して日本女子の個人種目では最高成績となる銀メダルを獲得した。
小平が勝った昨年末の代表選考会では、その差はわずか0秒21に縮まった。最高の舞台にふさわしい、最高の戦いが待っている。
(金子英介)