豪、ペルーとFTAに署名 砂糖などの輸出拡大へ
【シドニー=高橋香織】オーストラリアとペルーの両政府は12日、キャンベラで2国間の自由貿易協定(FTA)に署名した。ペルーは豪州産砂糖の輸入枠を設けるほか、発効から5年で豪州産品目の99%で関税を撤廃する。豪州から南米への農産品輸出に弾みがつきそうだ。
チオボー豪貿易・観光・投資相は同日の声明で「豪・ペルーFTAは南米への入り口となる」と述べた。豪州とペルーを含む環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国は3月、米国抜きの「TPP11」への署名を予定している。豪州はTPP11が不調に終わった場合に備え、ペルーとの2国間FTA交渉を急いだ経緯がある。豪州はペルーがメキシコ、コロンビア、チリと構成する太平洋同盟との間でも、貿易自由化交渉を進めている。
豪外務貿易省によると、ペルーはFTAの発効に伴い3万トンの砂糖輸入枠を設定。5年後に6万トン、18年後には9万トンに拡大する。また、豪州産牛肉の輸入関税を現在の17%から5年以内に撤廃する。
トランプ米大統領はTPPへの復帰検討を表明したものの、道筋はなお不透明だ。豪州は2国間や多国間のFTAを通じ、牛肉や砂糖など農畜産物の輸出市場拡大で米国に先行することを目指す。