ドレミの7音、虹の色? 新潟大、共感覚で調査
音を聞くと色を思い浮かべる特殊な知覚「共感覚」の持ち主が感じる「ドレミファソラシ」の7音の名前が虹の色に対応しているとの調査結果を、新潟大の伊藤浩介助教(認知神経科学)のチームが10日までにまとめ、英科学誌電子版に発表した。メカニズムは不明といい、伊藤助教は「なぜ音楽に心を動かされるのかという未解明の問題に、ヒントを与えてくれるかもしれない」と話す。
共感覚は「音に色を感じる」「味に形を感じる」といった2つ以上の感覚が結びつく知覚現象。シベリウスやリストらが音と色の共感覚を持つ音楽家として知られるが、色の感じ方には個人差があり、一定の法則はないと考えられていた。
チームは共感覚を持つ日本人大学生の男女15人に「ドは何色に感じるか」と、「ド」から「シ」までの音名をランダムに質問。こうした実験を4回繰り返し、平均値から共通するパターンを探ると、「ド」は赤、「ミ」は緑、「ソ」は青と、「赤・橙(だいだい)・黄・緑・青・藍・紫」などと表現される虹の色とほぼ順序よく対応していることが判明。さらに、色は音そのものよりも音の名前との結び付きが強いことも示した。
共感覚は、脳内の知覚に関する部位の過剰な結合や、言語・文化の影響などが原因とされる。伊藤助教は「幼い頃から親しむ『ドレミの歌』で『ソは青い空』と歌うことが原因かもしれないが、『ド』の赤などは説明できない」と話す。今回の実験は日本語のため「海外でも同じ傾向か調べたい」という。
共感覚に詳しい大阪市立大の酒井英樹准教授(色彩学)は「より多くの人を調べないと一般に成り立つとは言えないが、限られた範囲でも法則を見いだせたことは貴重な成果だ」と評価。研究の新たなアプローチになり得ると指摘した。〔共同〕