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関西初蹴りの場・下鴨神社、ラグビーの聖地に

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花園ラグビー場(大阪府東大阪市)と並ぶ、関西ラグビーのシンボル誕生だ。2017年、世界遺産の下鴨神社(京都市)でラグビーの神様をまつる「雑太社(さわたしゃ)」が装い新たに完成。多くのラグビー関係者が必勝祈願に訪れている。

関西ラグビーの出発点は1910年。旧制第三高等学校(現京都大)の学生が慶応義塾の学生に手ほどきを受け、関西で初めてラグビーに触れた。その場所こそ雑太社の前だった。

下鴨神社といえば蹴鞠(けまり)が有名だが、雑太社にまつられている神魂命(かんたまのみこと)は蹴鞠の神様の先祖に当たる。雑太社が朽ちて昭和20年代に取り壊されると、神魂命は一旦、境内の別の社に合祀(ごうし)された。

資金難などでなかなか雑太社の再建がかなわなかったが、昨年、19年ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の組み合わせ抽選会が京都で開催されるのに伴い、34度目の式年遷宮の一環として再興の運びに。抽選会の前に仮の宮が建ち、11月には正規の社が再建された。

蹴鞠とラグビー。ボールで結ばれた縁にちなみ、雑太社に戻るにあたって神魂命は「ラグビーの神様」と位置づけられることになった。そもそも三高の学生が初蹴りの地に雑太社を選んだのは、神魂命の「魂」が「球」に通じるからだとか。学生は既にラグビーとの浅からぬ縁を感じていたのだろう。

11月24日、夕闇に包まれた境内に凜(りん)とした空気が漂った。神魂命を雑太社に戻す遷座祭。暗くなってから執り行ったのは、神様は人目に触れてはならないとの習わしから。電灯は消され、たいまつの火だけが辺りを照らす。絹垣(きぬがき)というとばりに囲われた中、ご神体がゆっくりと雑太社に移され、翌25日には遷座完了を祝う奉祝祭が執り行われた。

新たな雑太社は、関西ラグビーの発祥を記念して1969年に建った「第一蹴の地」の碑の横に造られた。鳥居のそばには参拝者が「必勝」などと思いのほどをしたためた、ラグビーボール型の絵馬が飾られている。再興に尽力し、遷座祭で絹垣の持ち手を務めた坂田好弘・関西ラグビー協会会長は「社の再興で下鴨神社はまさにラグビーの聖地になった」と語る。

下鴨神社では19年W杯に向け、組織委員会を立ち上げて盛り上げに一役買う考えで、「いずれラグビーが日本の球技とまで言われるようになれば」と東良勝文・情報宣教課課長。今や同神社もれっきとしたチーム・ジャパンの一員だ。

(合六謙二)

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