ペルー、フジモリ氏次男が新党設立へ 姉の党から離党
【サンパウロ=外山尚之】ペルーのフジモリ元大統領の次男、ケンジ・フジモリ議員は1月31日、姉のケイコ・フジモリ議員が党首を務める最大野党「フエルサ・ポプラル」からの離党を発表した。近く新党を設立する。他に9人の議員が新党に参加する見込みで、フエルサ・ポプラルは議会で過半数割れとなった。ケンジ氏は次期大統領選を目指すとみられ、ペルー政界におけるフジモリ家の分裂は決定的となった。
リマで記者会見したケンジ氏は「我々はフエルサ・ポプラルの執行部による、絶え間ない侵害の犠牲者だった」と述べ、実姉のケイコ氏らを批判。ケイコ氏らが議会を機能不全に陥らせていたと主張した。
ペルーでは2016年6月の大統領選でクチンスキ氏がケイコ氏を僅差で下し大統領に就いたが、議会ではフエルサ・ポプラルが過半数を握り、少数与党のクチンスキ政権を重要閣僚の罷免や内閣不信任案で攻め立てていた。
ケンジ氏は12月の大統領の罷免決議案の採決で党の方針に造反し、否決に追い込んだ。その直後にフジモリ氏の恩赦が決定したこともあり、クチンスキ氏との政治的取引に応じた疑いがでていた。ケイコ氏ら党執行部は1月30日にケンジ氏に追放処分を発表しており、これに対抗する形でケンジ氏らが離党に踏み切った。
ケンジ氏らは今後、クチンスキ大統領を支援するとみられ、政界の勢力図急変は確実だ。
今回の分党により、ケンジ氏が21年の次期大統領選に立候補し、フジモリ家でケンジ氏とケイコ氏が争う可能性が出てきた。フジモリ氏は31日時点でどちらを支持するかは明らかにしていないが、「ケンジ氏が率いる、アルベルト・フジモリ氏のグループが誕生した」と公言する議員が出てくるなど政界ではケンジ氏をフジモリ氏の後継者として見なす動きが広がっている。