31日の参院予算委の主な発言
■小川敏夫氏(民進、東京)
【森友学園問題】
小川氏 昭恵首相夫人を通じ、森友学園から「安倍晋三小学校」という校名にしたいと申し出を受けたのはいつか。
安倍晋三首相 いつごろか覚えていないが、断った。朝日新聞は籠池泰典前理事長が「安倍晋三記念小学校」という校名で設置申請したと事実のように報道したが、実際は「開成小学校」だった。民進党は鬼の首を取ったように私を攻撃した。(籠池氏には)お目にかかったことも、話したこともない。この議論は国有地売却とは全く関係のない話だ。
小川氏 証人、参考人として昭恵氏の出席を求める。
【経済政策】
小川氏 アベノミクスで国民生活が楽になったとの実感はない。
首相 国民生活に最も大切な雇用は大きく改善し、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれている。有効求人倍率が全ての都道府県で1倍を超えた。アベノミクスを通じて経済の好循環を加速させたい。
■浜野喜史氏(民進、比例)
【働き方改革】
浜野氏 使用者に比べ、労働者は立場が弱いとの前提で働き方改革を進めるべきだ。
首相 働く人の立場から一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する。働き方改革関連法案の具体的内容の検討を進めている。
【温暖化対策】
浜野氏 二酸化炭素の排出に課金する「カーボンプライシング(炭素価格付け)」を導入するか。
中川雅治環境相 世界の多くの国で取り入れられている。環境省は有識者による検討会を設置した。政府として導入するとの結論を出しているわけではない。
浜野氏 国民負担を見極めて再生可能エネルギー導入を進めるべきだ。
首相 再生可能エネルギー導入を図ることは安倍内閣の一貫した方針だ。課題解決に向け政策を総動員する。
■森本真治氏(民進、広島)
【線香配布問題】
森本氏 自ら支援者に線香を持参したことはあるか。
茂木敏充経済再生担当相 ない。
森本氏 秘書が線香を配布した際、事務所の名刺を持参したか。
経済再生相 個別の活動について私がその場に居合わせているわけではない。分からない。
森本氏 「茂木氏の秘書」を名乗るよう指導しているか。
経済再生相 一般的な社会常識に従い、さまざまな接触をしている。
森本氏 秘書が茂木氏の秘書だと示せば公選法違反だ。
経済再生相 公選法にのっとっている。
【核廃絶】
森本氏 世界中で核兵器廃絶を呼び掛ける「ヒバクシャ国際署名」に個人として署名すべきだ。
首相 署名活動は核兵器禁止条約の締結を求めている。条約は核の抑止力自体を否定している。北朝鮮は「日本列島を日本海に沈める」と宣言している。核保有国が非核保有国を核の使用でどう喝したのは、事実上初めてだ。北朝鮮への抑止力を維持し、国民の命を守り抜く責任が私にはある。
森本氏 トランプ米大統領に広島、長崎訪問を働き掛けるべきだ。
首相 公の場でコメントするのは控える。核兵器のない世界の実現に向け、引き続き米国と緊密に意思疎通を行う。
■片山さつき氏(自民、比例)
【日韓関係】
片山氏 韓国の文在寅大統領に従軍慰安婦問題の日韓合意を動かさないと伝えるべきだ。
首相 平昌五輪開会式に合わせ文氏と会談し、日韓合意を巡る日本政府の立場を直接明確に伝え、韓国側も誠実に履行するよう強く働き掛ける。合意を1ミリも動かすことはない。(朝鮮半島有事に備え)韓国内の邦人や(北朝鮮にいる)拉致被害者の安全確保へ協力を要請する。
【環太平洋経済連携協定(TPP)】
片山氏 トランプ米大統領にTPPへの復帰を働き掛けるべきだ。
首相 自由で開かれた高いルールのTPPを日本と共にけん引していくべきだと働き掛けたい。
【仮想通貨流出問題】
片山氏 取引所から仮想通貨が流出した。
黒田東彦日銀総裁 決済や金融は信頼に支えられている。仮想通貨関連サービスの提供者には積極的なリスクの説明や、セキュリティー対策が求められる。仮想通貨に投資する人々はリスクを認識する必要がある。
■宇都隆史氏(自民、比例)
【日中関係】
宇都氏 中国の潜水艦が沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域を航行した。常に警戒心を持ち、慎重に関係構築をすべきだ。
首相 日本の領土、領海、領空を断固、守り抜く。この方針の下、万全の態勢を取った。尖閣諸島を巡る情勢には、今後も毅然かつ冷静に対応していく。安倍政権の決意を見誤るべきではない。今年は日中平和友好条約締結40周年の節目だ。日中両国は北朝鮮問題をはじめ、アジアの平和と繁栄に大きな責任を共有している。隣国故に難しい課題もあるが、戦略的互恵関係の下、大局的な観点から協力と交流を進めていく。
【防衛政策】
宇都氏 防衛装備品の開発と、有事の際の整備や補給の態勢が脆弱だ。産業界と調整が必要だ。
首相 装備品の研究開発、生産、整備は民間企業に依存しており、国内の生産技術基盤を維持、強化しておくことは極めて重要だ。防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」の見直しに当たり、防衛力を支える国内基盤を強化するための取り組みも重要な検討課題だ。
■高野光二郎氏(自民、高知)
【憲法改正】
高野氏 改憲の必要性をどう考えるか。
首相 憲法は国の形、理想の姿を示すもので、時代の節目に当たって議論を深めるべき時に来ている。改憲は国会が発議し、最終的には国民投票で決する。決めるのは国民だ。国民が(改憲の)権利を実行するために、国会で真摯な議論を深めることが必要であり、私たちにはその義務がある。党利党略や党が割れるからとかではなく、前向きに取り組んで良い案が出ることに期待したい。
【参院選の合区】
高野氏 隣接県を統合する「合区」を解消すべきだ。
首相 合区を含め、参院の選挙制度の在り方は議会政治の根幹に関わる重要な問題だ。各党各会派で議論していただく。
■ 山本香苗氏(公明、比例)
【米軍機トラブル】
山本氏 沖縄で米軍ヘリの不時着が相次いでいるのは異常事態だ。日米安保体制の根幹が揺らぎかねない。
首相 日米両国は地域住民の安全確保を最優先課題として取り組んでいる。トランプ米大統領にも直接伝え、地元の懸念を軽減する重要性を確認した。徹底的な整備、点検を実施し、再発防止策を講じるよう米国に求めている。
小野寺五典防衛相 2月1日に自衛官を沖縄県の米軍普天間飛行場に派遣し、(米軍の点検整備の状況を)確認する。
【防衛計画大綱】
山本氏 スタンド・オフ・ミサイル(巡航ミサイル)は敵基地攻撃に転用できるのか。
首相 スタンド・オフ・ミサイルだけで敵基地攻撃能力は発揮できない。隠蔽されたミサイル発射基地を把握し、相手国の制空権を一時的に確保して攻撃するなど一連のオペレーションが必要だ。日本を攻撃する相手を排除するための装備だ。
山本氏 どのようなプロセスで大綱を見直すか。
首相 関係省庁が連携して検討し、国家安全保障会議(NSC)でも十分に議論する。
〔共同〕