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中国で聞こえた 五輪まで続く厳しい競争の号砲

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1月半ば、中国江蘇省の江陰を訪ねた。23歳以下(U-23)のアジア選手権に出場した日本代表(森保一監督)の戦いを見るためだった。2020年東京五輪を目指す日本代表チームは残念ながらベスト8で敗れたが、チームづくりの初動に当たる今は、その悔しさの中から選手一人ひとりが自分に足りないものを真摯に見詰め、自身の成長につなげてくれたらいいと思っている。

大きかった2歳の年齢差

上海から長江沿いに高速道路などを使って2時間半ほど車を走らせると、江陰にたどり着く。車窓から見える長江沿いは開発がどんどん進んでいるようで、江陰もまた立派な都会だった。サッカー専用競技場ではないものの、近隣の常州や崑山なども合わせて100キロ圏内に、16チームが参加する大会をそつなくこなせるハードを備えていた。

私が見たのはグループリーグ最終戦の北朝鮮戦(1月16日、○3-1)と準々決勝のウズベキスタン戦(1月19日、●0-4)のみ。日本のすべての試合を見たわけではないが、U-23のメンバーを中心に争われる20年東京五輪の代表強化を見据えて、現時点で21歳以下の選手で戦った日本は、2歳年上の相手に苦戦を強いられた。年齢差の壁は特に完敗したウズベキスタン戦に顕著だったと思う。

北朝鮮もウズベキスタンもこの世代で「世界」を経験している。カタール、ミャンマーとともに14年U-19アジア選手権でベスト4に入り、翌15年のU-20ワールドカップ(W杯)に出場したのだ。日本はこのとき、南野拓実(ザルツブルク)、井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)らを送り込んだが、準々決勝で北朝鮮にPK負けを喫し、W杯出場を逃した。15年のU-20W杯ニュージーランド大会でベスト8まで勝ち進んだウズベクはこの世代のトップランナーといえよう。

年齢差以外にもハンディはあった。日本サッカーのカレンダーでオフに当たるこの時期は、代表チームに選手を集めるのに本当に苦労するのだ。Jリーグで活躍した選手ほど、前シーズンの疲れを取りリフレッシュして新シーズンに臨んでもらうために、この時期は休養を与える必要がある。

欧州組呼べず、チーム編成に苦心

また、Jリーグより先に始まるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に向けて既に始動しているチームもある。そういうところの選手は代表に呼ぶより、キャンプにしっかり参加させて所属先でレギュラー争いに勝ってもらった方がいい。Jでコンスタントに試合に出ることに勝る成長戦略はないからだ。

昨年、U-17とU-20、両方のW杯に出た期待の久保建英(FC東京)はバーンアウトさせてはいけないという配慮で今回は招集が見送られた。堂安律(フローニンゲン)や冨安健洋(シントトロイデン)ら欧州組は逆に向こうがシーズン真っ盛りなので呼びたくても呼べない。G大阪で頭角を表した初瀬亮、J2でそのスピードスターぶりが話題の前田大然(松本)はメンバー発表後、ケガなどで代表入りを辞退した。

そんなこんなで、J1、J2、J3、大学生はもちろん、Jクラブのユースチームにまで網を広げて今回はチームを編成することになった。呼びたい選手が呼べないならと、積極的に選手を発掘していく方向にスタンスを切り替えたのだろう。五輪代表を立ち上げたばかりで、これだけの選手に投網をかけられたのは、スタッフが日ごろから選手をよく見ている証拠だろう。

ちなみに、アジアサッカー連盟(AFC)は1月のこの時期に重要な大会を組んでくるのが恒常化している。4年に1度、フル代表のチャンピオンを決めるアジアカップがそうだし、2年に1度のU-23アジア選手権もそうだ。オリンピックイヤーにある同選手権は五輪アジア予選を兼ねるため、日本のように若くしてタレントを海外に送り込んでいる国はこれが頭痛の種になる。

アジアカップはAFC主催のフル代表の公式戦なので海外組を遠慮なく呼べるが、U-23の方はフル代表の大会ではないので所属クラブの了解がない限り、選手を呼ぶことはできない。次の東京五輪は開催国としてアジア予選を免除されるものの、この日程問題はこの先もずっとつきまとうことになる。

それはさておき、予想どおり、今大会の日本の選手はコンディションにかなりばらつきがあった。遠藤渓太(横浜M)のように1月元日の天皇杯決勝まで戦った選手もいれば、12月の天皇杯敗退とともにシーズンが終わった選手もいた。J2の選手はもっと早くシーズンが終わる。

タフさで及ばなかったウズベキスタン戦

そういう状況でもB組の日本は初戦でパレスチナに、第2戦でタイにいずれも1-0で勝って、早々に決勝トーナメント進出(ベスト8)を決めた。3戦目の北朝鮮戦は先発を総入れ替えしても快勝した。森保監督が目指す、GKからボールを正確につないで、人もボールも動いて攻め込んでいくサッカーがしっかりできていた。メンバーをあれこれ変えながらも、短期間で日本人の良さであるショートパスのコンビネーションを浸透させたのはさすがだと感じた。

しかし、31分から39分の間に3連続失点したウズベキスタン戦は経験不足を露呈した。一度、歯車が狂うと立て直せない弱さが出たというか。試合の立ち上がりこそ、崩す形をつくれたけれど、徐々に相手の局面のプレッシャーの強さに苦しむようになった。競技場のピッチが4会場の中で一番悪く、ボール処理に手間取ったというのはある。もっとスピーディーにパスを回せれば、相手のプレスを外せたかもしれない。そういう意味でもまだまだチームは初期段階にあると感じた。

ウズベクの選手には3年前のU-20W杯でベスト8の最高成績を収めた自信がみなぎっていた。聞けば、国内リーグでもレギュラーポジションをつかんだ選手が多く、Jリーグでまだ一人前になりきれていない日本の選手をタフさで完全に上回っていた。決勝トーナメントに上がるとギアをさらに一段上げた感じで、悪条件のピッチ上で球際の強さを前面に押し出し、日本を苦しめたのだった。

継続強化が実を結びつつあるカタール

終わってみると、大会を制したのはウズベクで、3年前のU-20W杯に出場したカタールも3位に入った。4年前のU-19アジア王者のカタールは、そのときから同じスペイン人の監督が継続してチーム強化に携わっている。22年のW杯カタール大会のときには26、27歳になる彼らがフル代表の中核になる設計なのだろう。しっかりパスをつないで展開すべきところは展開してという、いかにもスペインらしいサッカーを監督は選手に植えつけている。

そのカタールがグループリーグで地元中国を一蹴した試合は見事だった。中国の選手はみんな身体が大きくて勢いはあるのだが、それをカタールはうまくいなして2-1で快勝した。中国はウズベクにも0-1で敗れて決勝トーナメントに勝ち上がれなかった。

施設は立派だし、いろいろな大会を開催して運営のノウハウも積み上がっている中国だが、残念だったのは代表チームの弱さと、お客さんがどの会場もそれほど多くは入っていないことだった。

五輪監督に就任して初の公式戦に臨んだ森保監督は、Jリーグの広島時代に手がけた3バックだけでなく、4バックにもトライした。今年は8月にインドネシアでアジア大会があり、こちらも21歳以下のチームで参加することになっている。20年東京五輪までは"年上"と戦うことが専らになるわけだが、このアジア大会もJリーグの真っ最中だから、チーム編成に頭を悩ますことだろう。

東京五輪代表はわずか18枠

森保監督が率いるチームが本領を発揮するのはこれから先のことで、進化の過程で0-4という惨敗をするのも悪くはない。私が率いた04年アテネ五輪のチームも初動の段階で、当時無敵のジュビロ磐田と練習試合を組んでもらい、0-7とぼろぼろにされた。あえてそう仕向けた。天狗(てんぐ)の鼻をへし折ってもらって素直に弱さを認めてもらいたかったのと、目指すべきところまでの距離の遠さを知らせるためだった。

東京五輪のサッカー競技に出場できるのは18人だけ。W杯のようなサッカー単独の競技会より5人も少ない。仮に年齢制限を受けないオーバーエージ(OA)をフルに3人使えば、U-23で五輪に出られるのは15人の狭き門になる。この15人に入ろうと思ったら、国の内外を問わず、この2年の間に所属先でレギュラーとして君臨しないと無理だろう。

実際には15人の門はさらに狭くなる。五輪代表の座をめぐる争いは同一のカテゴリーだけで行われるのではないからだ。23歳以下という年齢制限は上限を示すものであって下限ではない。それゆえに、1996年アトランタ五輪に19歳で出た中田英寿や松田直樹、14年リオデジャネイロ五輪に18歳で出た井手口のような"飛び級"で突き抜けてくるタレントが必ず出てくる。私など、アテネ五輪の候補選手を集めた最初のミーティングで「同一のカテゴリーで生き残れるのはせいぜい8人」と厳しめに語ったものだ。「だから心してかかれ」と。

多少の誇張はあっても半分は本気だった。それくらい、20歳前後は急激に成長するものなのだ。例えば、先日の高校選手権を見に行っても、春からJリーグに進む選手の中に「東京五輪でやれるのはでないか」という有望株がちらほらいた。

そういう選手が今年10月にインドネシアで開かれるU-19アジア選手権の代表に選ばれ、厳しい戦いをくぐり抜けて来年のU-20W杯に出場したとする。伸び盛りの選手はそういう国際経験を積むことで信じられないほど急成長する。アテネ五輪でいえば、このほど引退を表明した平山相太や徳永悠平(長崎)、今野泰幸(G大阪)らが1つ下のカテゴリーから先輩を追い抜いて、五輪代表の座を勝ち取ったように。東京五輪でも当然同じようなことが起きるだろう。

自国開催の五輪で代表に選ばれるチャンスなど本当に一生に一度あるかないか。そこにOAを除いて、1997年1月1日以降に生まれた選手が殺到するのだから、そのレースを勝ち抜くのは並大抵のことではない。

鍵の一つは、これからも経験するであろう敗戦から多くを学ぶことだ。自分たちに足りないものをせっかく気づかせてくれたのに、そこで「ピッチが悪かった」「体調が悪かった」というような言い訳をするのはもったいないし、甘いと言わざるを得ない。

「自分は誰かの代わりに選ばれた」などと思う必要もない。選手の招集が難しい五輪チームは、選手の側から見れば、どこにチャンスが転がっているか分からないということ。森保監督のチームは多くの選手にドアが開かれている。

(サッカー解説者 山本昌邦)

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