5000円スマホめざすOS開発のアメグミ、2000万円調達
1台5000円で快適に使えるスマートフォン(スマホ)を作りたい――。ソフトウエア開発スタートアップのアメグミ(徳島県美波町、常盤瑛祐最高経営責任者=CEO)は、そんな思いでスマホ向け基本ソフト(OS)開発に取り組む。このほど、ディー・エヌ・エー(DeNA)共同創業者の川田尚吾氏とフリークアウト・ホールディングス代表取締役の本田謙氏から総額2000万円を調達した。調達資金は、開発や販売を担う人材の獲得に充てる。
アメグミが開発する「サンブレイズOS」のウリは「ムダの無さ」だ。電話番号でメッセージをやりとりするSMSやインターネット閲覧用のブラウザー、交流サイト(SNS)に投稿するためのアプリなど最低限の機能に抑える。動画視聴やスマホゲームをしないユーザーにはうってつけだ。さらに、最大の特徴は「OSをアップデート(更新)しないことだ」と常盤CEOは胸を張る。
スマホは新機能が追加されたり、セキュリティーを高めたりするためにOSを数カ月に1回更新する。「そのたびに動作速度が遅くなるようにできている」と常盤CEOは指摘する。高機能端末を前提にOSが更新されるため、古いものや低機能のスマホではすぐに動作が鈍くなり、ユーザーが買い替えを検討する要因の一つになっている。
そこでサンブレイズOSでは、SNSやウェブ検索など最低限の利用を想定し、セキュリティー部分以外はほとんど更新しない。端末の性能に合わせて無理のない範囲でソフトを動かすことで、長期間軽快な動作をするスマホにできるという。「電池を交換すれば最低5年は軽い動作ができるはずだ」と常盤CEOは話す。
端末は中国の既製品工場で生産する。新たな生産ラインを用意する必要がなく、価格を1台あたり5000円程度に抑え込めるという。国内で販売される格安端末の最低価格が約1万円。その半分で済む計算だ。数年以内に出荷する見込みだという。
スマホOSの世界シェアは、グーグルのアンドロイドと米アップルのiOSが9割以上を占める。そこに割って入るサンブレイズOSに勝機はあるのか。
そこでアメグミが狙うのはアジアやアフリカの新興国市場だ。アウンコンサルティングによると、インドのスマホ普及率(2015年時点)は33%、ナイジェリア(14年時点)は51%。新興国では、高機能高価格よりも、低価格で最低限の通信ができるスマホが好まれる。アメグミは「格安×快適」のスマホで新市場を開拓したい考えだ。
(企業報道部 矢野摂士)