ホテル「好不調」日次で分析 空が機能追加
ホテル向け経営分析ツールを手がける空(東京・渋谷、松村大貴社長)は24日、市場分析システム「ホテル番付」に競合ホテルと比べた成績を日次で把握できるサービスを始めたと発表した。従来の月次データから細かい情報がわかるようになる。ホテル側は人工知能(AI)の一つである「機械学習」を使って、自社の価格や稼働率の好不調を確認して柔軟に見直しができ、スタッフの配置も効率化する効果が見込めるという。
ホテル番付は2017年8月にサービスを始めた。空がネット上で情報が公開されている全国1万軒以上のホテル・旅館の価格、客室のデータを自動的に集め、同社と契約したホテルがどの立ち位置にいるか提供する仕組み。
契約したホテル側は従来月次だったのを営業日ごとに分布図で成績が把握できる。稼働率で料金も高かった「順調」や料金、稼働率とも低かった「要改善」といったように示され、値上げや値下げを柔軟にできるようになる。ホテル番付で月額1万円(税別)の有料会員向けサービスとして展開する予定で、まず2月3日まで無料会員でも使えるようにする。
空はホテル番付と、競合やイベントの開催状況に応じホテルが料金設定を変えられるツール「マジックプライス」が収益の2本の柱だ。新たにホテル番付で日次のデータを把握できるようにして、マジックプライスへの呼び込みも図る。現在、ホテル番付と契約するホテル・旅館は1000を超えている。
空は2015年の設立で、ベンチャーキャピタル(VC)の米500スタートアップスの日本法人やインキュベイトファンドなどが出資する。松村社長はもともと起業志向があり、ヤフーで広告を担当した。「テクノロジーを使って、経験や勘に頼っていたホテル業界を支援できる」と思ったのが原点という。
特にサービス業は人手不足に直面する。ホテルはIT(情報技術)に詳しい人員の確保は難しく、同社は簡易に経営分析や料金設定ができるB2Bの分野に特化にしている。同社は日本全体で約5万軒あるホテル・旅館のうち10%にあたる5000施設との契約をめざしている。将来は「海外展開も視野に入れている」(松村社長)という。
(企業報道部 加藤貴行)
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