米上院、パウエルFRB次期議長を承認
緩やかな引き締め継続へ
【ワシントン=小竹洋之】米上院は23日の本会議で、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長に、ジェローム・パウエル理事(64)を起用する人事を賛成多数で承認した。2月3日に1期4年の任期を終えるジャネット・イエレン議長(71)の後任として、第16代の議長に就任する。任期は4年間。現行の金融政策を基本的に踏襲し、緩やかな引き締めを継続する見通しだ。
パウエル氏は弁護士出身。共和党のブッシュ(父)政権で国内金融担当の財務次官を務め、米投資ファンド、カーライル・グループの共同経営者としてウォール街でも経験を積んだ。2012年5月にFRBの理事に就任し、金融政策の正常化に取り組むイエレン氏を支えてきた。
トランプ大統領は17年11月、共和党の主流に近い穏健派のパウエル氏を、FRBの次期議長に指名した。上院銀行委員会の指名公聴会では「政策金利はさらに幾分上昇し、バランスシート(保有資産)も徐々に縮小すると見込んでいる」と指摘。緩やかなペースで利上げや保有資産の圧縮を進める現行の金融政策に、大きな路線変更はないとみられる。
しかし、トランプ政権が今後10年間で差し引き1.5兆ドル(約165兆円)の大型減税に踏み切ったことで、景気の過熱やインフレの加速を招くとの懸念も出ている。低金利の維持を望む政権の期待に反し、利上げのペースアップを迫られる可能性もある。
パウエル氏は就任直後の2月後半に議会証言に臨み、3月20~21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を初めて指揮する運びだ。市場では0.25%の追加利上げで「デビュー戦」を飾るとの観測が多い。
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