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イチローの感覚と格闘 野球グラブ職人・岸本耕作(上)

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スポーツ用具の職人はつらい商売だ。どれほど品質のよいものを作っても、使う選手が気に入らなければ日の目を見ることはない。ミズノテクニクス波賀工場(兵庫県宍粟市)で40年以上、野球グラブの製作に携わってきたグラブマイスター、岸本耕作(60)も辛苦を味わった。

2006年、岸本はミズノの先輩で「名人」とうたわれた坪田信義からイチローのグラブ作りを引き継ぐことになった。イチローの若手時代から担当してきた坪田が70歳を過ぎたため、世代交代の意を含む"継投"だった。

要求水準の高さで知られるイチローだけに、岸本は念には念を入れて製作に当たった。坪田の仕様書を基に作ったグラブは約50個。そこから厳選した6個を手に、当時所属していたマリナーズの本拠地、米シアトルへ飛んだ。

恐る恐る差し出したグラブを左手にはめたイチローは首をかしげたという。どれも理想の感触とは違ったようで「ストレスを感じます」。キャッチボールで使うこともなく、岸本は全てを持ち帰るしかなかった。

「落ち込んだというか、情けないというか」。宮本慎也(元ヤクルト)ら多くの名手のグラブを作ってきた岸本にとって、一つも受け取ってもらえないのは初めての経験だった。

どこに「ストレス」を感じるかの具体的な説明はなく、手探りで約30個を作り直す。シーズンが終わってから6個をえり抜いて渡すと、イチローは「随分よくなりましたね」と1つを受け取った。会社の幹部と一歩前進と喜んで帰国したものの、やがて「試合では使えない」との連絡が届く。揚げ句の果てには「坪田名人に作ってほしい」。

前任者を指名されるショックは相当なものだったが、岸本はめげなかった。改めて坪田のグラブを手にして気付いたのは、柔らかさの中にも「しっかりした感覚があった」。

高い操作性を求めるイチローのグラブ作りでは、重量を軽くするため他の外野手用グラブより0.3~0.4ミリ薄い革を使う。革が薄ければそれだけ柔らかくなりやすいが、イチローの場合は「最初から柔らかく感じるグラブはだめ。かといって硬くてもだめ」(岸本)。その中間のストライクゾーンをいかに表現できるかが勝負だった。

イチローが坪田のグラブを手にはめて新シーズンを迎えた07年の5月、岸本は満を持して"追試"に臨んだ。渡米していくつか手渡すと、1つを受け取ってもらう。いずれまた不合格の返事が来るのか。岸本は受験生のような心境でその時を待った。=敬称略

(合六謙二)

〔日本経済新聞夕刊1月22日掲載〕

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