中国スマホ最大手ファーウェイ、米での本格販売計画が頓挫
米国側、情報漏洩を危惧か
【広州=中村裕】中国最大手のスマートフォン(スマホ)メーカーの華為技術(ファーウェイ)は10日、米国で今年から予定していたスマホの本格販売を米国側の事情で断念したことを明らかにした。米通信大手のAT&Tを通じスマホを販売しようと昨年から両社で協議を続けたが、合意に至らなかった。米国側がファーウェイのスマホからの情報漏洩リスクを危惧したことが原因とみられている。
米国で開催中の世界最大の家電見本市「CES」で、スマホの担当部門の最高経営責任者を務めるファーウェイの余承東氏が会見を開き、契約ができなかった理由は伏せながらも「本当に不幸なことだった」と語った。
ファーウェイは世界でも韓国サムスン電子、米アップルに続く3位の販売シェアを誇る。ただ米国市場に本格参入ができておらず、最大の懸案事項だったため、AT&Tとの契約をテコに2強の牙城を崩す作戦だった。
ファーウェイは2012年にも米議会から中国共産党との関係を問題視され「米国の安全保障にリスクをもたらしている」と指摘を受け、米市場へ本格進出を果たせずにいた。
16年3月には中国通信大手の中興通訊(ZTE)が長年にわたり、米国からイランや北朝鮮に対し、輸出禁止の通信機器を違法に輸出していたことも発覚。米当局はZTEに11億9000万ドル(約1300億円)に及ぶ巨額な罰金を科した。
今回の契約が結ばれなかった背景にも、こうした中国の通信企業に対する不信感が米国側に働いたものとみられる。
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