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木も水も不要、中東に「石の紙」 TBM・山崎社長

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石を原材料にする製品は大理石から宝石類まで数多いが、硬くて冷たい触感は共通する。TBM(東京・中央)が手掛けるLIMEXは石灰石を原料にした新素材。しかし手で触れてみると、紙のような樹脂のような柔らかい手触り。「紙やプラスチックの代替品として世界の環境問題に貢献したいんですわ」。山崎敦義社長(44)は、親しみやすい関西弁で、夢を語る。

名刺やメニュー、1500社採用

「この名刺も『LIMEX』でできてますよ」。山崎社長が差し出した名刺は、少しつるつるした紙の手触りだ。LIMEXは、石灰石の粉末にポリプロピレンなどの樹脂を混ぜ、高温で伸ばして作る。水に強く、破れにくい性質も持つ。

名刺を裂こうとしたがフチにしわが寄るだけで破れない。現在宮城県白石市の工場で量産中で、2017年末までに1500社を超える企業が名刺や飲食店のメニュー表などで活用している。

「日本は島国ですからあんまり水資源の不足は叫ばれませんけど、内陸の国ではかなり深刻ですよ」。山崎社長が念頭に置くのは、世界の環境問題だ。紙の生産には大量の木材が求められる。また、繊維の洗浄にきれいな水が必須だ。1トンの紙を作るために約100トンもの水が必要になる。

「世界には雨が降らず樹木がない地域もある。紙は大変貴重な資源」(山崎社長)。LIMEXは原料に木と水を使わず、製造段階でも水をほとんど使用しない。リサイクルもしやすい。

事実、中東での引き合いが強い。17年3月にはサウジアラビアの国家産業クラスター開発計画庁と、現地にジョイントベンチャー(JV)を設立して、工場建設の交渉を進める覚書(MOU)を締結。地中海に浮かぶマルタやモロッコなどからも声がかかる。

11年のTBM設立まで数社を起業した山崎社長のスタートは異色だ。大阪府岸和田市の中学校を卒業後、大工の見習いになった。「家とか大きなモノを造る仕事に憧れたんですよね」と振り返る。その後20歳で中古自動車販売会社を起業したが、翌年に阪神大震災を体験。「社会に貢献できる経営者になりたい」との思いを強くした。

「紙の神様」と研究開発

30代になり欧州を旅行した際に見た石でできた建築物や教会に感銘を受けた。「100年続き、人類に貢献できる事業を興したい。サステナビリティー(持続可能性)だ」。そして友人に紹介されて出合ったのが石でできた紙の「ストーンペーパー」だった。

08年、台湾の製造業者からストーンペーパーの輸入業を始めた。ストーンペーパーは耐水性に優れ、屋外広告などでの用途を見込んだ。化学に精通していなくても、石を使うという単純さから普及が進むと考えたが「届く製品の品質が保てなかった」ため、売り上げが伸びなかった。厚みにばらつきがあり、印刷機器に適さなかったためだ。

何としてもこの素材で勝負したい。しかし台湾からの輸入に頼っていては、普及はおろか世界と勝負する事業には育たない。一方で、品質が安定して価格が安くなれば化ける、という取引先の評価もあり、「こんな夢のある事業はない」と確信していた。その背中を押したのが、現TBM会長で元日本製紙専務取締役の角祐一郎氏だった。

「紙の神様」とも呼ばれた角氏のアドバイスをもとに、研究開発に取り組んだ。当時は工場がなかったため、他企業の装置を借りて開発しようと考えたが、多くの会社から断られた。最終的に日立造船が協力し、ストーンペーパーの自社開発に踏み切った。これがLIMEXの始まりだ。

経済産業省の支援を受け、15年2月に宮城県白石市にパイロットプラントが完成。素材系スタートアップとして大きな壁になる工場建設を乗り越えた。20年には同県多賀城市に第2工場を建設する計画だ。

17年10月には、英ロンドンに本部を置く国際NPOのCDPとパートナーシップを結んだ。CDPは00年に発足した企業の温暖化ガスや水消費量などの情報を収集して評価するNPOだ。LIMEXでできた用紙を活用したリポートを作成。環境に配慮した取り組みを推し進めている。

社名の「TBM」は、時代の懸け橋になりたいという願いを込め「Times Bridge Management」の頭文字をとった。将来はLIMEXで産業をつくり、「日本の技術で世界中に雇用を生む」と話す山崎社長。世界で100年続くビジネスを目指す。

(企業報道部 矢野摂士)

[日経産業新聞 2018年1月10日付]

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