プロトスター、ICO支援でスイス社と提携
起業家コミュニティー運営のプロトスター(東京・港、前川英麿最高経営責任者=CEO)は、クラウドファンディング関連のスターベース(スイス)と組み、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)の支援業務を始めた。スターベースは昨年9月に自らプレICOを実施し、1000万ドル(約11億円)を調達した。スタートアップ企業を中心にICOの関心が高まっており、プロトスターはスターベースの経験を生かし助言などをする。
ICOを巡っては2017年に欧米で100億円規模の調達が相次いだ。一方で法的な位置付けが曖昧で取引に関するルールの整備が進んでいないといった課題もある。中国や韓国が禁止に踏み切るなど国ごとの対応も異なる。
プロトスターは日本での法的な位置づけの確認や、新設の海外法人を介してICOの実施などを助言。ICOの対象となる事業の価値算定(デューデリジェンス)なども対象にする。自社内のサービスでブロックチェーン(分散台帳技術)を取り込みたい企業にも助言する。前川CEOは「海外で(自社の製品・サービスの)ファンをつくるためのトークンを使ったコミュニティー形成も支えたい」という。
スターベースは日本人エンジニアの佐藤智陽氏が16年にシンガポールで設立したスタートアップ企業。欧州のブロックチェーン技術のスタートアップが集積する街として知られるスイス中部のツークに本社を置く。プロトスターは独自にICO関連ニュースに特化したメディアを持っており、スターベースと組みサービスの幅を広げる。
ICOやブロックチェーンを巡っては、ベンチャーキャピタル(VC)とICOを実施したスタートアップが提携するケースが相次ぐ。有力VCのBダッシュベンチャーズ(東京・港)は18年にもICOを対象にした100億円規模のファンド組成を計画しており、フィンテック関連スタートアップのQUOINE(コイン、同・千代田)が投資先の選定などで協力する。
グローバル・ブレイン(東京・渋谷)も今春に数百億円規模のブロックチェーン対象のファンドを立ち上げる予定で、タイを拠点にするネット決済サービスのOmiseと提携した。Omiseは長谷川潤氏が率い、東南アジアで事業を拡大しており17年にICOで2500万ドルを調達した経験がある。
(企業報道部 加藤貴行)