2017年、上がった株 下がった株
健康関連など中小型内需上位に
間もなく2017年の株式取引が終了する。最も株価が躍進した企業はどこか。反対に最も株価下落率が大きい企業はどこだろう。全上場企業を対象に年間の株価騰落率でランキングした。
上昇率トップは断トツで北の達人コーポレーション。健康食品や化粧品の通信販売を手掛ける。1年前の大納会に125円だった株価は27日に1415円。実に11倍に急上昇した。便秘やアトピーなど体の悩みに特化した商品を扱い、独自開発のオリゴ糖「カイテキオリゴ」などヒット作を持つ。健康食品という性質上、定期購買につなげ業績を拡大している。
他にも健康関連の商品を扱う企業や、低価格・高品質を掲げる外食など、中小型の内需銘柄が上昇率上位に目立つ。
3位アイケイはプライベートブランド(PB=自主企画)の化粧品が好調。生協販売ルートを固め、最近ではテレビやネット通販を伸ばしている。12月中旬には18年5月期の純利益予想を前期比6割増に上方修正した。
「結果にコミットする」RIZAPグループも12位に食い込んだ。減量指導をするパーソナルトレーニングジムのほか、健康関連商品に事業の裾野を広げている。
RIZAPは経営不振企業のM&A(合併・買収)でも関心を集めた。顧客基盤の共通化による販路拡大やマーケティング専門家らによるブランド再構築を支援。グループ入り後に業績に回復の兆しがみえる夢展望(11位)やジーンズメイト(8位)もそろってランクインした。RIZAPの瀬戸健社長は「買収プロセス中の案件は常に10件はある」と、今後もM&Aに積極的な姿勢だ。
外食企業では「いきなりステーキ」を展開するペッパーフードサービスが上昇率2位。外食店で珍しい肉のグラム売りやコストパフォーマンスの高さを前面に固定客をつかみ、業績は拡大基調。ラーメンチェーンの幸楽苑ホールディングスがフランチャイズ契約を結び、一部店舗のステーキ店転換を決めた。15位串カツ田中は低価格メニューが消費者に受け入れられている。
所得は緩やかながら上昇し、消費は底堅い。訪日外国人(インバウンド)の消費意欲も旺盛だ。ゴールドマン・サックス証券のキャシー・松井チーフストラテジストは「日本の成長のけん引役は外需から内需に移る」とみる。17年の株式市場で内需企業が買われたのは、来年以降の成長加速を期待した先回り買いの可能性もある。
一方の下落率ランキング。株価が前年比約7割下落したワースト1のウェッジホールディングスは、タイでオートバイローンを手掛けるが17年9月期は最終赤字だった。子会社の海外取引に関する不正行為が浮上、決算発表を延期した経緯もある。その親会社でアジアを中心に金融事業を展開する昭和ホールディングスの下落率も大きい。
このほか、ワクチン開発のUMNファーマや創薬支援のカルナバイオサイエンスなどバイオベンチャーも下落率上位に目立つ。17年は新規株式公開(IPO)が90社と高水準。値動きに目を付けた個人投資家がバイオ株からIPO株に乗り換える動きもあったようだ。
9位ヨネックスの下落率も目立つが、前年までに株価が急上昇していた反動が大きい。中国などアジアでのバトミントン人気で業績が伸長するとの思惑が一服した。
外食業界では低価格を武器に業績を伸ばす大手チェーンと、人手不足に苦しむ小規模店との差が広がっている。下落率17位のぐるなびは、主要顧客の小規模飲食店の収益悪化で情報サイト経由の手数料が減り、18年3月期は減収減益を見込む。
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