シェアサイクルの波に乗れ 自転車創業、観光サイト拡充
自転車関連メディア運営の自転車創業(東京・世田谷、中島大社長)は27日、ネット専門旅行会社のエボラブルアジアなどから第三者割当増資による資金調達をしたと発表した。調達額は数千万円。日本でもシェアサイクルのサービス提供者が増え注目が集まるなか、自転車を使った観光を提案する自社サイトのコンテンツ拡充に力を注ぐ。
自転車創業の増資を引き受けたのはエボラブルのほか、ネット広告のカヤック、クララオンライン(東京・港)、ノーマディック(同)の4社とエンジェル投資家2人。調達資金で8月にベータ版を立ち上げた自転車の旅行サイト「FRAME OUT」の記事を拡充する。また、現在主力の、自転車関連グッズやライフスタイルなどを取り扱うメディア「FRAME」のコンテンツも増やす。
現状のFRAME OUTは自社スタッフが執筆した記事が多いが、個人にお薦めの観光ルートを投稿して共有してもらうコミュニティーとしての面を強くする方針だ。今回出資を受け入れた企業とも連携。エボラブルとは実際に旅先に送客したりする仕組みを検討し、地域活性化にも取り組むカヤックとはシェアサイクル利用者向けの観光コンテンツでの協力をにらむ。一連の仕組みで手数料を受け取る新たな収益源もつくりたい考えだ。
シェアサイクルを巡っては近年、NTTドコモのほか、セブン―イレブン・ジャパンとソフトバンクグループ、LINEなど参入組も増えている。中島社長は「2018年は国内のシェアサイクル元年になる。旅先でのシェアサイクルで巡る観光コースを紹介するコンテンツ、関連サービスをしていきたい」と述べる。一方、祖業である遊休スペースを使う駐輪場の情報サービスは事業整理になる見通しだ。
自転車創業は慶応大卒で連続起業家の中島大氏が2013年に設立した。中島氏は別の企業を起業したばかりの7年前、「金も時間も体力もない」状態に対応し、スポーツ自転車を始め東京都内を移動するようになった。自らで経験した自転車の楽しさや課題をビジネスにしようとKDDIの事業成長プログラムに参加し、採択されたのを機に仲間と起業した。一見シンプルな自転車にIT(情報技術)を組み合わせた「自転車テック」のスタートアップだ。
(企業報道部 加藤貴行)