北朝鮮人権侵害で非難決議、国連総会 13年連続 表現強める
【ニューヨーク=高橋里奈】国連総会は19日、日本と欧州連合(EU)が共同提出した北朝鮮の人権侵害を非難する決議を採択した。北朝鮮の慈成男(チャ・ソンナム)国連大使は採決前に「断固として決議案を拒絶する」と発言。「決議案は米国とその他北朝鮮に対する敵対的勢力による陰謀と策略、政治的かつ軍事的対決の産物だ」と糾弾した。
北朝鮮の人権侵害非難決議の採択は13年連続。組織的で深刻な人権侵害を非難し、外国人に対する拷問や拘束、拉致、法的手続きを経ない死刑などに深刻な懸念を示した。北朝鮮に拘束され昏睡(こんすい)状態で解放された米国人学生(当時22)が死亡した事件を受け、拘禁されている外国人に自国の領事官と通信させたり、面会させたりすることも求めた。
昨年の決議では北朝鮮に対する「極めて深刻な懸念を強調」とした表現のうち、今年は「強調」を「非難」に強めた。ただ、国連総会決議に法的拘束力はない。
北朝鮮の慈氏は内容に強く反発し、「米国の野蛮な制裁こそが卑劣な人権侵害」と批判。「米国とその他敵対勢力によるしつこい制裁と圧力にもかかわらず、我が政府は人民の生活を向上させるためにすべての努力を注ぐ」と強気姿勢を貫いた。