スバル、法令順守意識薄く 不正検査で報告書提出
完成車の不正検査が発覚していたSUBARU(スバル)は19日、国土交通省に社内調査の報告書を提出した。社内外の監査時に無資格者を意図的に検査ラインから外し、見つからないようにしていた新たな不正が調査で判明した。同日、記者会見した吉永泰之社長は「企業体質を全面刷新する」と述べた。
今回の調査で、検査員の資格を取るために必要な教育を十分な時間受けていなかったり、研修の意味合いがある業務に当たる時間が社内規定に満たなかったりしこともわかった。資格試験で試験官が受験者に答えを教えていた例もあった。
資格を取得する前であっても、現場リーダーが技量があると判断すれば検査させていた。社内で決めた検査員の資格を取得するルールを無視していたことになる。
スバルは検査員の資格を取る訓練のために、一定期間はラインに入って補助的な検査業務に当たる規定があった。これを拡大解釈し、資格を持たない従業員が1人で検査する例もあったという。あわせて有資格者が印鑑を無資格者に貸し出し、押印していた。これらは1980年代に始まった可能性があり、90年代に定着したもようだ。
不正の原因について報告書は「現場における過度な技量重視の風土」をあげた。資格がなくても必要な技術があれば検査しても問題が無い、という認識が定着していた。報告書は「裏返しとしてルール軽視の姿勢が認められる」と指摘した。
「ルールの合理性に対する懐疑」も原因とした。検査を担当する従業員に資格取得の要件が実態に合っていないとの認識があり「ルールを守らないことを正当化する口実になった」としている。
調査はスバルが長島・大野・常松法律事務所(東京・千代田)に依頼。約30人の弁護士が、スバルの社員や役員らのべ約430人に聞き取りした。吉永社長は「(調査結果を)全面的に受け止め猛省して再発防止策をやりきる」と述べた。12月から2018年3月まで社内の全役員が月額報酬の一部を自主返納する。
完成車の不正検査を巡っては、9月に日産自動車で無資格者による検査が発覚。国土交通省が全自動車メーカーに調査を要請したところ、スバルは群馬県にある本工場と矢島工場で不正検査が見つかった。国交省はスバルに対して、調査報告書の提出を命じていた。