北海道知事ら、JR北支援を国交相に要請
経営が悪化しているJR北海道の路線見直しで、北海道の高橋はるみ知事や市町村、経済界の代表らは18日、石井啓一国土交通相に支援を求めた。老朽化した橋梁やトンネルなど施設の修繕に充てるための資金面の支援制度創設を要望。道や市町村による財政負担の方針も示した。財政面で国の支援に道筋をつけ、停滞する議論を加速させたい考えだ。
要請書には知事のほか、道議会の地方路線問題調査特別委員会の喜多龍一委員長や市長会の菊谷秀吉会長、町村会の棚野孝夫会長、経済連合会の高橋賢友会長など計17の組織・団体が名を連ねた。石井国交相は「国も協議に積極的に参加し、どういった支援ができるか検討したい」と応じた。
要請した支援には大きな柱が2つある。1つは鉄道建設・運輸施設整備支援機構が持つ「特例業務勘定」を活用した支援制度の創設だ。現在は旧国鉄職員の年金支払いなどに充てているが、これを老朽化した橋梁やトンネル、高架橋などの修繕・更新にも使えるものにするよう求めた。高架駅の耐震対策の支援措置の拡充も要望した。
2つ目は第三セクターの枠組みを使った支援だ。北海道高速鉄道開発(札幌市)は宗谷線や石勝線などで国の助成を受けながら高速化を進め、車両などをJR北に貸し付けてきた。道はこうした三セクの仕組みを応用し、市町村とともにJR北に対して財政支援を行う考え。その上で道内の自治体の厳しい財政事情を踏まえ、同枠組みの活用の際に国による財政支援も求めた。
このほかJR貨物の費用負担の軽減措置見直しや資金繰りの改善など、従来から国に対して求めている項目についても改めて要望した。
要請では国によるJR北への指導の徹底も求めた。国からの支援を受けるにあたっては同社による自助努力が前提となる。要請書には経営体質の見直しや企業ガバナンスといった経営改革に加え、情報開示の徹底や鉄道事業以外の収益拡大に向けた取り組みを指導するよう盛り込んだ。
高橋知事は会談後、「これから(国交省の)鉄道局としっかり議論を加速しなければいけない」と述べ、引き続き国との調整を進めていく考えを示した。
JR北の路線見直しを巡っては、同社単独で維持困難な路線を2016年11月に公表してから1年以上が過ぎたが、議論は進展していない。道は今回の国への要請で主導的な役割を発揮し、議論を加速させる。
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