神奈川県内景況感11年半ぶり高水準、12月日銀短観
日銀横浜支店が15日発表した12月の神奈川県内の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が全産業ベースで9月の前回調査に比べ1ポイント上昇のプラス15となり、2006年6月調査以来11年半ぶりの高水準だった。電気機械や素材関連が好調だった。景気回復の波は大企業に加え、中小企業にも及んできた。
DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」との回答の割合を差し引いた値。調査は333社を対象に実施し、332社が回答した。
製造業は1ポイント上昇のプラス19。特に伸びたのが電気機械で、15ポイント上昇のプラス15だった。スマートフォン(スマホ)市場の拡大などを受け、アジアなど海外向けが好調だ。ディスプレー製造で使う検査装置や露光装置などを手がけるブイ・テクノロジーは「取引先が海外でディスプレー工場の増強を進めているのが追い風になっている」とし、18年3月期の連結営業利益は過去最高を見込む。
素材は8ポイント上昇のプラス27だった。20年の東京五輪に向けた建設工事が増えていることなどを背景に、鋼材需要が高まっている。
非製造業は2ポイント低下のプラス11。小売りは15ポイント低下のマイナス4だった。日産自動車の無資格検査問題の影響で自動車販売が足踏みしたほか、小売店やレジャー施設は長雨などの天候不順が響いた。ただ、高島屋横浜店(横浜市)は「冬のボーナスが消費に回ってきている」と指摘。足元では歳暮や冬物衣料などの売れ行きが好調で、「消費の基調はいい」という。
企業規模別では中小企業の全産業ベースのDIが8ポイント上昇のプラス16と、10年半ぶりの高水準だった。播本慶子支店長は「中小企業にも景気改善の広がりが出てきた。特定業種に限らないバランスの取れた成長が景気の底堅さにつながっている」と分析した。
17年度の全産業の経常利益計画は前年度比3.5%増と、前回調査の3.5%減から増益に転じた。海外向けを中心に半導体関連や工作機械、自動車などの販売が好調で、為替相場の円安基調も寄与している。
3カ月後の先行きDIは全産業で1ポイント低下のプラス14を見込む。製造業は4ポイント低下のプラス15、非製造業は1ポイント上昇のプラス12。
景況感が堅調に推移する中で、人手不足感は一段と強まっている。雇用人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」との回答の割合を差し引いた雇用人員判断DIは全産業で1ポイント低下のマイナス27となり、調査開始の1998年3月以来過去最低を更新した。