環境先進都市、新産業の柱に 神戸の水素発電所
18年2月から実験
神戸市が「環境先進都市」へ一歩前進した。水素を燃料とする電気と熱を世界で初めて市街地の施設に供給する発電所が市内で10日に完成、来年2月上旬に実証試験に入る。市は周辺の市民病院など公共施設4カ所に電気を供給できるように協力した。水素エネルギー分野を市は新産業の柱の一つとする。実証段階の先行を企業の成長などにどう生かすかが注目される。
「実証に大きく期待している」。新施設に助成した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫理事長は10日の完成式典後の講演会で強調した。
発電所は川崎重工業と大林組がポートアイランドに完成させた。水素を天然ガスと混ぜて発電するほか、水素だけでの発電も実証する。水素は燃焼時には二酸化炭素(CO2)を排出せず、その比率が高いほどCO2削減につながるとされる。総事業費は約20億円。
神戸市は中小企業向けの水素エネ関連の勉強会を開いている。水素関連技術は日本企業が強いともいわれ「水素産業」の旗は、企業の育成・誘致の両面で効果が期待できる。CO2削減の技術革新では「脱ガソリン車」を含め海外の大胆な取り組みが目立つ。世界の速い流れを注視して施策を進める必要がある。