ビットコインに過熱感 1日1000ドルペースで上昇
仮想通貨ビットコインを巡るマネーゲームが過熱している。1ビットコインのドル建て価格は日本時間7日夜に一時1万5000ドルの大台を超え、前月末からの上昇率は約5割に達した。時価総額は2500億ドル(28兆円)を超え、日本企業首位のトヨタ自動車(約2010億ドル)を抜いた。機関投資家の参入期待が支えだが、急ピッチな上昇には危うさもある。
ビットコインの時価総額は年初の16倍に膨張。調査会社コインデスクによると、1ビットコインの価格は12月5日から7日にかけて1日あたり1000ドルを超えるペースで上昇した。10月までは1000ドルの上昇に半月ほど時間かかっていた。
現在のビットコインの売買の大半は個人だが、機関投資家も取引が可能な環境が整いはじめた。米シカゴ・オプション取引所が10日、米シカゴ・マーカンタイル取引所が18日にビットコイン先物の上場を予定。米ナスダックによる18年の先物上場計画も報じられ、国内でも東京金融取引所が意欲を示す。機関投資家マネーの流入期待が新たな個人を呼び込み、価格を押し上げている。
企業の稼ぐ力が価格の裏づけになる株式とは異なり、ビットコインには価格の合理性を判断する投資尺度が存在しない。それだけに値上がり期待の投機資金が価格を際限なく押し上げている。
マネックス証券の広木隆氏は「先物が始まれば機関投資家は現在の価格が根拠のないバブルと判断し、先物を売り建てる可能性がある」と話す。
価格高騰で低い送金コストという利点も薄れてきた。取引所の送金手数料はビットコイン建てのため、円建ての手数料が上昇。送金コストが銀行を上回るようになった。
例えば大手取引所ビットフライヤーの送金手数料は一律0.0004BTC(BTCは取引単位)で、円建てに直すと約700円(7日時点)。一方、みずほ銀行ではATM経由の他行宛の振込手数料は3万円未満が432円、3万円以上が648円のため、ビットコインの方が割高だ。
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