環境オフィスと働き方改革、同時に エコプロ2017開幕
環境に配慮した製品やサービスを集めた国内最大級の展示会「エコプロ2017 環境とエネルギーの未来展」(産業環境管理協会、日本経済新聞社が主催)が7日、東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した。リコーや富士ゼロックスなどがオフィスの環境対策と働きやすさを両立した新技術を展示し、来場者の注目を集めた。
2050年までに温暖化ガス排出量「実質ゼロ」という環境目標を掲げるリコー。「脱炭素社会の実現」に向けて、顧客にも提供する環境技術を披露した。その目玉の1つが照明制御技術だ。
自社製の発光ダイオード(LED)照明にセンサーを内蔵。人の出入りや室温、在席状況などをセンサーで見張り、明るさを自動でコントロールする。社内の実証試験では消費電力量を従来比58%削減できた。複数のセンサーによって人の動きがわかるため、例えば廊下では歩く方向を察知し、ある程度前方まで照明をつけるなど「不快な思いをしない省エネを可能にする」(宮松宏州・省エネルギー事業推進室室長)。
価格は未定だが、壁に穴をあけるなどの工事が不要なため低コストで導入できるという。他メーカーと連携し、空調も制御できるようにする。工場では冷却装置など生産設備の監視も手掛ける予定だ。「センサーが取得したデータを分析すれば不要な会議室や非効率な生産設備がわかったりする。省エネだけでなく、仕事のやり方や生産性の改善といったコンサルティングも可能になる」(宮松室長)という。
国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」は環境だけでなく「働きがいのある仕事」も重要な目標として掲げられており、働き方改革を後押ししている。SDGsエリアに出展した富士ゼロックスのテーマは「2030年の未来のオフィス」。集中状態を脳波で測定するシステムや、会議の場で参加者がアイデアなどを電子付箋として瞬時に投稿できるツールなどを披露した。
同社はモバイルを使った業務の効率化などを提案してきた。「今後の経済成長のためには想像力を高めたり、コミュニケーションを活発にしたりといった仕事の質向上につながる取り組みが必要」(宮本育昌・環境経営推進チーム長)という。
セイコーエプソンやデュプロ精工(和歌山県紀の川市)は使用済みの紙を職場で再生できる小型装置を披露した。環境意識に加え、最近は機密保護の観点から外部委託ではなくオフィス内で処理したいとの声も高まっている。
(安田亜紀代)
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