「フリーテル」端末会社、民事再生法申請へ 負債総額26億円
格安スマートフォン「フリーテル」ブランドの端末を製造・販売するプラスワン・マーケティング(東京・港)は4日、東京地裁に民事再生法の適用を申請したと発表した。負債総額は約26億円。プラスワンは格安の通信サービスと端末の製造の両方を手がける独自のビジネスで注目を集めていたが、通信サービスは今年11月に楽天へ売却していた。今後は端末事業を存続させるかが焦点となる。
国内の格安スマホ市場では楽天やイオンなど異業種の大手などが参入しているが、基本的には通信サービスのみ。プラスワンのような通信と端末製造の2つの事業を手がける企業は珍しく、ヨドバシカメラも出資していた。
同社の増田薫社長はタレントの佐々木希さんらを起用した派手なCMでアピールしてきた。だが、今年4月に「業界最速」としたフリーテルの広告が事実と異なるとして消費者庁が指摘。その後は携帯大手による格安スマホ事業の強化や割安な料金プランの導入などで顧客離れに拍車がかかり業績が悪化した。
「フリーテルの店舗を運営を任されたのに、支払いがとまっている」(販売代理店幹部)。顧客離れが止まらないなか、業界内では今夏ごろから資金繰りの悪化が語られるようになった。端末の開発費用もかさみ、MM総研の横田英明取締役は「身の丈以上のことをしてしまった」と言う。
フリーテルの通信サービスを契約する人は既に楽天へ移行しており、「安心して通信サービスを使ってもらえる」(楽天)という。端末の故障の受け付けや取り換えはあくまでもプラスワンが担う。事業や従業員引き受けについては今後協議を進める。
人材派遣・ITサービス会社のMAYA SYSTEM(東京・新宿)がプラスワンのスポンサー候補に名乗りを上げるというが、今後の事業の引き受けや顧客のサポート体制は不透明なままだ。(大西綾)