「君たちはどう生きるか」100万部 読み継がれ80年
「漫画 君たちはどう生きるか」と、その原作の新装版「君たちはどう生きるか」(ともにマガジンハウス)の発行部数が、計100万部に達することが30日までに、分かった。原作は、編集者で児童文学者の吉野源三郎(1899~1981年)が37年に刊行。岩波文庫版などで読み継がれてきた名著が、80年たって大きな支持を集めている。
宮崎駿監督(76)が製作中の新作長編アニメは同書と同じタイトルで、この本が主人公にとって大きな意味を持つストーリーになることが明らかになっており、「ブーム」は続きそうだ。
漫画は羽賀翔一さんが描き、新装版は現代仮名遣いに改め、活字を大きくするなどした。いずれも8月下旬に発売。マガジンハウスによると、28日に決定した増刷分で、漫画が計80万部、新装版が計21万部となった。
物語は中学生の「コペル君」と、近所に住む「叔父さん」の交流を描く。コペル君は友達を裏切ってしまった出来事などを通じ、人間が持つ「自分で自分を決定する力」を発見していく。
マガジンハウス執行役員の鉄尾周一さん(58)は「良いものは時を隔てても良い。将来に漠然とした不安がある今、『どう生きるべきか』と考えている人に響いたのではないか」と話している。〔共同〕