野党再結集は消えるのか 近づく「期限」
「民主主義を重んじる勢力の結集のために、粉骨砕身努力することを誓う」。21日の参院本会議で、民進党代表の大塚耕平が代表質問の最後に力を込めたのは、野党勢力の結集だった。
衆院選で民進出身者は立憲民主党、希望の党、無所属にわかれて戦った。ちりぢりになってしまった勢力を再び集め、次の国政選挙で与党と野党が1対1で対決する構図をつくれれば、政権奪取への道もできるとみる。
だが、現在は再結集の軸がどこになるのか、立憲民主、希望、民進のにらみあいが続き、その機運は消えかけている。大塚の代表質問と前後して、民進と立憲民主のさやあても起こった。
「民進党の地方議員との関係を優先したいが、待てなくなっている。年内ぐらいが期限ではないか」。20日、立憲民主代表、枝野幸男は立憲民主からの立候補を望む民進の地方議員に入党の判断を促す考えを記者団に示した。
立憲民主は19日の名古屋市議補選で勝利し、地方議会で初の議席を得ていた。大塚は21日の記者会見で「何かを強要することはあってはならない」と苦言を呈した。
2019年の統一地方選への態勢づくりを急がなければならないというのは事実だ。
「再来年の参院選をにらんで、来年の通常国会でイニシアチブを取った野党が再編の中心になるので、通常国会の終盤まで、見極めなければならないとの論を述べる者もいる。しかし、これは、状況認識の誤りだ」
21日、ブログで警鐘を鳴らしたのは、衆院選で希望から立候補し落選した馬淵澄夫だ。民主、民進で選挙対策委員長を経験した。
現時点で次の国政選挙として明らかなのは19年夏の参院選だが、直前にある統一地方選で足並みをそろえろ、というのが馬淵の主張だ。「3党がバラバラに統一地方選候補を擁立すれば野党による潰しあいが現実のものとなる。3か月後の参院選は足腰がガタガタの選挙となりかねない」
統一地方選の野党候補者が連合の推薦を得て戦うなら、お披露目をする来年のゴールデンウイークのメーデーまでに擁立を終えていることになる。そこから逆算した再結集の期限は「来年の3月いっぱい」(馬淵)だ。
過去の政権交代は非自民勢力への追い風と、自民の分裂が伴った。勢力結集は戦術に過ぎず、それだけで政権奪取につながるわけではない。とはいえ、野党が乱立するいまの状態は、与党にとって「脅威」にならない。=敬称略
(犬童文良)