ホテル経営分析の「空」が最優秀賞
「テッククランチ」バトル 113社の頂点に
スタートアップの大型イベント「テッククランチ東京」は最終日の17日、ビジネスプランを競い合う「スタートアップバトル」の最終審査を渋谷ヒカリエ(東京・渋谷)で開き、ホテル向け経営分析ツールを手がける空(同・同、松村大貴代表取締役)が最優秀賞を獲得した。空は書類審査から参加した113社の頂点に立ち、賞金100万円を獲得した。
前日の20社から選抜された6社のトップが最終プレゼンテーションと質疑応答に臨んだ。空はホテルの料金設定サービス「MagicPrice(マジックプライス)」を展開。過去の販売動向や現在の予約状況、ネットで集める価格変動の情報から、ホテルが最適な料金を設定できるのが特長だ。経営分析ツール「ホテル番付」も手がけ事業を拡大している。松村氏は「プレゼンは他に負けないように磨き上げた。1年後にさらに成長したい」と述べた。
また、建設業向けアプリの東京ロケット(東京・渋谷)が審査員特別賞を受賞した。同社は職人と建設現場をマッチングし、最適な人材配置につながるアプリ「助太刀くん」を提供する。
空、東京ロケットの2社とも人材不足に直面する業界向けのサービスを提供する。審査員を代表し講評したコロプロ元副社長で個人投資家の千葉功太郎氏は「toB(法人向け)のより専門的な領域の深いサービスに入り、リアル社会の解決策につながる」と両社を評価した。最終審査では両社の評価が競っていたといい、空が上回った点として「アルゴリズムのビジネスで、海外展開と他ジャンルへの展開がしやすい」と指摘した。
2日間で渋谷ヒカリエに起業家が集い、交流を深めた。ベンチャーキャピタル(VC)幹部によると「前年より大企業の来場者が増えている」という。大企業とスタートアップの連携が深まる最近のトレンドも反映している。
くしくも17日には、米グーグル日本法人が本社を六本木から渋谷駅近くで東京急行電鉄が建設中の複合ビルに移転すると発表した。移転は2019年の予定だ。グーグルの約9年ぶりとなる渋谷"帰還"は、この街のネット関連企業の集積に弾みがつく。特に「グーグルロス」に直面していた東急にとっては悲願だ。最終審査のプレゼンターとして登壇した東急の加藤由将氏が「(グーグル帰還を)ようやく公開でき、もやもやが晴れた」と打ち明ける一幕もあった。
(加藤貴行)
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