RCEP年内合意断念、2018年以降も交渉 閣僚会合
【マニラ=八十島綾平】東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉に参加する16カ国は12日、フィリピンで閣僚会合を開き2018年以降も交渉を継続することを確認した。当初目標としていた年内の合意を断念。18年は閣僚・事務レベルともに交渉回数を増やし、まずは全部で15ある交渉分野の重要項目について早期の進展を図ることを確認した。世耕弘成経済産業相が会合後、明らかにした。
16カ国閣僚は14日に開かれる首脳会合で、18年以降の交渉方針などについて報告する。RCEPは日本や中国、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国が参加し、妥結すれば域内最大級のメガ自由貿易協定(FTA)になる。
会合後に会見した世耕経産相は「一定の前進はみられるが、多くの課題が残されている」と説明。18年以降は、交渉テーマを絞った中間会合や2国間交渉を積極的に開くべきだとの考え方を示した。
16カ国は9月にフィリピンで閣僚会合、10月には韓国で高級事務レベル会合を開いて交渉を続けてきた。だが貿易自由化交渉では、自国市場の保護を優先するインドや中国と、高水準の貿易自由化を求める日本やオーストラリアなどとの間になお溝がある。
貿易ルール分野の交渉でも、データの自由な流通など電子商取引(EC)関連ルールの整備を求める日本と、自国外へのデータ流通を制限している中国や一部ASEAN加盟国との間で対立が解消されていない。
RCEPは日中などと、ミャンマーのような途上国との間で経済規模の差が大きいことも特徴。日本などは各国の経済規模の差に応じて段階的に合意する案も模索している。