景気拡大、いざなぎ超え確認 戦後2番目の長さに
2012年12月に始まった景気回復局面が高度成長期の「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さとなったことが8日、確定した。内閣府が同日発表した9月の景気動向指数(CI、2010年=100)の基調判断を11カ月連続で据え置き、景気回復が9月で58カ月間に達した。海外景気の回復などを追い風に歴史的な安定成長軌道を歩むが、賃金伸び悩みなど懸念材料も残る。
CIは生産や雇用などの経済指標の動きを総合して算出し、景気の方向感を示す。9月は基調判断を最も強気の「改善を示している」に据え置いた。
景気回復の期間などは、後日開く景気動向指数研究会で専門家らの意見を聞いて内閣府が判断する。茂木敏充経済財政・再生相は9月25日公表の月例経済報告で、すでに現在の景気は「いざなぎ景気を超えた可能性がある」との認識を示しており、今回の景気動向指数の判断から具体的なデータとしても確認された。
いざなぎ景気は1965年11月から70年7月まで57カ月間続いた。今の景気回復が2019年1月まで続けば、02年2月から73カ月間続いた戦後最長の景気回復を抜く。
緩やかな回復が持続する背景にあるのは堅調な世界経済だ。経済協力開発機構(OECD)は、17年の成長率が調査対象の45カ国そろってプラスになると予想。対象国すべてがプラス成長になるのはリーマン危機前の04~07年以来、10年ぶりで、外需の恩恵が日本企業に及ぶ。日本固有の要因では日銀による異次元の金融緩和が為替の円安につながり、企業収益を下支えしていることも大きい。
一方、家計所得についてみると、1人当たりの名目賃金にあたる現金給与総額の伸びは、今回の景気回復局面がスタートした12年11月から足元にかけて1.6%にとどまる。賃金が上がらない中で一般の消費者にとっては景気回復の「実感が乏しい」との声もある。
1人当たりの賃金に働く人の人数を乗じて算出する名目総雇用者所得は、この間に7.7%増えた。人手不足を背景に女性や高齢者といった新たな労働者が市場に参入したことで、働く人全体が受け取る報酬の総額自体は大きく増え、景気底上げに貢献している。
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