株価の先行き、米利上げペースや中国景気がリスク
市場関係者にこの先の日経平均株価の予想を聞いたところ、来年にかけて2万4000円程度まで上昇するとの声が多かった。世界的な好景気と企業業績の拡大が背景にある。半面、相場下落のきっかけになりそうなリスクでは、米国の金融政策や税制改正の行方に加え、中国経済の不透明感を挙げる声が目立った。
三井住友アセットマネジメントの平川康彦氏は「2017年4~9月期決算の発表が進むにつれて、今期、来期共に増益率の見通しが上がってきている」と驚く。今後も業績拡大に応じた株高がじりじり進むとみる。
野村証券の若生寿一氏は「株高による資産効果で百貨店売り上げが増え始めた」と指摘。内需企業も業績が上振れする可能性があるとみる。JPモルガン証券の阪上亮太氏は「市場の目線は来期に2万4000円程度まで切り上がる」と話す。
だがその前提となる世界経済の拡大については不透明な要素も多い。今後の米国の利上げについて「予想を超えるペースとなった場合は世界の株式市場のリスクになる」(ゴールドマン・サックス証券のキャシー・松井氏)との指摘がある。
さらに「米国株の水準は法人税減税が実現することを前提にしている」(UBSウェルス・マネジメントの青木大樹氏)ため、仮に成立しなければ失望売りが膨らむ可能性が高い。そうなれば日本株にも影響が及ぶ。
中国経済にもリスクが潜む。15年夏に世界で株価が急落したのは人民元の切り下げがきっかけだった。「共産党大会を終え、政府が市場や経済の統制を強めると想定外のことが起きてもおかしくない」(野村証券の若生氏)との声が出ている。