省電力広域のIoT通信、センスウェイが全国2万局へ
通信スタートアップ企業のセンスウェイ(東京・中央、信藤薫社長)は6日、省電力で広域な無線通信ができる「LPWA」の全国サービスを始めると発表した。2018年末までに2万の基地局を整備し、総投資額は約30億円を見込む。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」通信用の低価格デバイスを提供し、通信大手に対抗する計画だ。
センスウェイは、LPWAの1つのであるネットワーク「LoRaWAN」を使う。三井不動産などの協力で実施した実証実験で、遠距離でも容量242バイトのデータを送信ができることを確認したという。容量の少ないデータを送るのに向き、自動販売機での販売データやマンション、エレベーターの防犯・防災用のデータなどでの用途を見込む。
サービス料金は基地局と通信するデバイスの個数に毎月課金する仕組み。低価格タイプ(1日の送信回数12回まで)の場合、1デバイスあたり月30円。送信と受信が1日48回まで可能な標準タイプで月50円と低価格に抑えた。
また、三井不動産と東京大学IoTメディアラボラトリーなどは同日、センスウェイのLoRaWANを使い、社会問題の解決策などを募集する大規模な「柏の葉IoTハッカソン」を実施すると発表した。東大の本郷キャンパス周辺(東京・文京)と柏の葉(千葉県柏市)、茨城県つくば市を結ぶ地域が対象で、優秀者には最大100万円を授与する。東大の学生や教員には専用デバイスを貸与し、実際のサービス展開を視野に入れた幅広い提案を促す。
東大IoTメディアラボラトリーの西和彦ディレクターは同日に都内で開いたイベントで、「パソコン、スマートフォン(スマホ)の次にIoTが来るのは確実だが、キラーアプリが何かまだ決まっていない」と指摘。「(同ラボラトリーのある東大)工学部の屋上にアンテナを立てて生きた実証ができる。先端のIoTに挑戦していきたい」と述べた。
(企業報道部 加藤貴行)