総合商社7社の今期予想、4社が上方修正 三菱商事など3社が増配
総合商社7社の2017年4~9月期連結決算(国際会計基準)が6日までに出そろった。石炭や鉄鉱石など資源価格の上昇を受け、三菱商事、三井物産、住友商事、豊田通商の4社が18年3月期の純利益見通しを上方修正。堅調な世界景気を追い風に非資源分野も好調で、三菱商など3社が配当予想を引き上げた。
6日は三菱商が通期の純利益見通しを従来予想から500億円積み増し前期比14%増の5000億円とした。前回の最高益は新興国ブームに沸いた08年3月期の4712億円で、今回10年ぶりに更新する。住友商も過去最高益となる2800億円に上方修正した。
伊藤忠商事と豊田通商も最高益を見込む。三井物産はリーマン・ショック前の08年3月期には及ばないが、会計基準を変更した13年3月期以降では最高益になる見通し。
業績の押し上げ要因は資源価格の回復だ。鉄鋼生産に使う原料炭は昨年前半の平均に比べ約8割高。銅、鉄鉱石も上がっている。非資源事業は底堅いアジア経済などに支えられ、各社とも海外の自動車販売や建設機械のリース事業、食糧・食品などが堅調だ。
三菱商の場合、原料炭を含む金属事業の部門利益は32%増の1950億円、自動車販売などの機械事業は750億円と3倍近くになる見込み。同社の増一行最高財務責任者(CFO)は6日の記者会見で「資源価格の上昇に目が行きがちだが(機械や食料など)事業系の稼ぐ力が着実に強化されている」と述べた。
通期業績の上方修正に伴い株主還元の拡充も相次ぐ。三菱商が年間配当を前期実績から15円増の95円としたのをはじめ住友商、豊田通商が上積みを決めた。伊藤忠と三井物は据え置いたが、期中に増配や自社株買いを打ち出す公算が大きい。
当面は良好な経営環境が続くとの見方が多い。三井物の松原圭吾CFOは「短期的には資源価格は下がるかもしれないが、長期的には上昇基調に戻る」という。住友商の高畑恒一CFOも「今後半年から1年くらいは資源の価格が乱高下する状況ではない」と話す。
ただ、10月以降の経営環境には地政学リスクなど不透明感も漂う。経営環境がおおむね良好なうちに、事業資産の入れ替えを進め、次の収益源を確立できるかが各社共通の課題になりそうだ。