希望・民進「顔」決まらず 希望、共同代表当面置かず
11月1日召集の特別国会を前に、衆院選の敗北で混乱が続く希望の党と民進党が「党の顔」を決められない異常事態に陥っている。希望は小池百合子代表(東京都知事)を補佐し、国政を仕切る国会議員の共同代表を当面は置かない方針を決めた。11月中に代表選で選ぶ。希望への合流を決断した民進の前原誠司代表は月内をメドに辞任する意向を示した。
希望が27日に開いた両院議員総会では、幹事長兼政調会長に大島敦前民進幹事長、国会対策委員長に笠浩史氏を起用する人事案が示され、了承された。特別国会での首相指名選挙は当選回数が党内で最も多い渡辺周氏に投じることも確認した。
小池氏は両院総会で「希望がしっかり進むための布陣について長時間ご議論いただいた。一致団結して進んでほしい」と表明。終了後、当面は共同代表を置かないことは「しっかりした代表選を行い、本格的に選ぶことが優先されるべきだ」と記者団に述べた。
小池氏は25日、執行部人事を含む今後の国政に関する党運営は「国会議員に委ねたい」と表明。11月1日召集の特別国会までに共同代表を含む暫定的な執行部を立ち上げ、年内に国会議員から共同代表を選ぶ代表選の実施を想定していた。
しかし暫定的な共同代表の人選を巡る調整は難航した。党内では、大島氏や若手の玉木雄一郎氏らを充てたり、当選回数が多いベテランを据えたりする案が浮上。暫定的な人事に異論もあり、国会議員の投票で正式な共同代表を選ぶべきだとの主張も出た。結局は意見がまとまらず断念した。
希望は衆院選敗北の混乱を引きずったまま、国会議員の党首不在という異例の体制で特別国会に臨む方向となった。小池氏の意向が意思決定に反映されず、求心力の低下が浮き彫りになるとともに、民進の長年の課題だったガバナンスのあり方にも不安を残した。
希望に合流せず、組織が残ることになった民進も新しい姿が見えない。
前原氏は27日の両院議員総会で「特別国会を前に一定の方向性を決めたうえで辞任し、新たな執行部のもとでスタートを切ることが大事だ」と表明した。「(与党に)3分の2(の議席獲得)を許す結果になった。代表として痛切に責任を感じている。心からおわびしたい」と謝罪した。
前原氏は30日に地方組織の代表が参加する会合で、衆院選までの経緯を説明。同日中に改めて開く両院総会で、辞任を正式に決める段取りを描く。前原氏は希望に加わる。後任の民進代表は特別国会の召集の前に選ぶべきだとの声が出ている。
民進に党籍を残して衆院選で当選した無所属組の間では、岡田克也元副総理を新代表に推す声がある。ただ、国会の会派は「無所属の会」として活動しており慎重論が衆参両議員から出ている。参院にも衆目が一致する候補は見当たらず、後任選びは容易ではない。
前原氏は参院議員を含めた希望への合流を断念し、民進や都道府県の地方組織の存続を認める意向を表明。民進に残る100億円超とされる政党交付金を希望に移さずに残す方針も示し、いずれも了承された。
総会では、希望への合流を決めた前原氏への批判が相次いだ。前原氏が民進が希望と立憲民主党などに分裂したことを「全てが想定内」と発言した真意の説明を求める意見も続出。前原氏は「適切ではなかった」と釈明した。「民進党でも惨敗だった」とも語った。