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根拠が見当たらない ウッズ復調の便り

ゴルフジャーナリスト ジム・マッケイブ

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もはや風物詩――と表現すべきだろうか。

毎年3月となってコートを脱ぐ陽気になると、男子ゴルフのメジャー第1戦、マスターズ・トーナメントの気配が感じられるようになる。春とマスターズは、多くのゴルフファンにとって一つのものだ。一方でこのところ、秋になって新しいシーズンが始まるころになると、ある選手の復帰の便りが届く。

先日、タイガー・ウッズ(米国)がドライバーでティーショットを打っているビデオをツィッターで公開して、復調をアピールした。

8月の終わりにアプローチ、10月上旬にアイアンの練習風景を公開したのに続いての映像ではあったが、プレースリリースもなければ、本人のコメントもない。よって、春に手術をした腰の状態はどうなのか、ゴルフはどの程度のレベルなのか、果たして復帰は近いのか――。肝心なことをあのビデオから、読み取ることはできなかった。

いってみれば、情報はゼロに等しいが、それでもウッズには根強い固定ファンがおり、彼らの目には映っているものが違うかもしれない。悲しいかな、我々ゴルフメディアもウッズがそうしたビデオを公開すれば、裏を取ろうと動かなければならない。

期待は早々にしぼむことに?

しかし、これまで通りなら、ファンの期待は早々にしぼむことになるのではないか。我々もいつのまにか頭の片隅に追いやってしまうことになるだろう。何しろ、これまでがこれまでなのである。

・過去4シーズン、彼は19回しか大会に出場していない(棄権除く)
・その4年、少なくとも5~6回は「全く痛みはない」「体の状態がいい」といい続けたが、そうだったことがない
・まるで一度引退したボクサーのように何度も復帰しているが、いずれも短期間に終わっている

振り返れば、ちょうど2016年の今ごろもウッズは復帰を明かした。実際、12月には非公式大会ながら、彼がホストを務める慈善大会のヒーロー・ワールドチャレンジに出場している。あの松山英樹が優勝したイベントだが、そこでウッズは72ホールを4アンダーで回った。このとき17人中15位。それでもポジティブなサインと受け止める人もいたが、全盛時のゴルフとはほど遠かった。年が明けた今年1月、米サンディエゴで行われ、過去7度の優勝を果たして相性のよかったファーマーズ・インシュアランス・オープンでは予選落ち。そのままアブダビ首長国へ飛んでオメガ・ドバイ・デザート・クラシックに出場したものの、第2ラウンドの前に腰の痛みを訴え棄権を決めた。

そのとき、2試合程度の欠場とされたが、結局は4月に手術し、それ以来、大会には姿を見せていない。彼が久々に話題になったのは、今年5月、アルコールまたは薬物の影響下で車を運転した疑いで米フロリダ州で逮捕されたときのこと。後ろ手に手錠をかけられ、いすに座りながら気を失っているように見えるショッキングな映像は、別の意味で注目を集めてしまった。

14~15年シーズンの冬も、15年1月の終わりにウエストマネジメント・フェニックス・オープンに出場。それは14年8月の全米プロ選手権以来の姿だったが、ここで予選落ちをすると、翌週のファーマーズ・インシュランス・オープンは初日のラウンド途中で途中棄権した。その後、ぶっつけで臨んだ15年のマスターズでは17位タイに入ったものの、残りのメジャー3大会はいずれも予選落ちしている。

あの短いビデオに答えはなし

おそらく今回も、ウッズは順調にいけばマスターズ出場を想定しながら、18年1~2月の復活をイメージしているのだろう。しかし、無事に春を迎えられるかどうか。それ以前に12月に42歳になるウッズは復帰したとしても、20代の選手が席巻する今の米ツアーで勝てるイメージを持てるのか。

まずはもちろん、大会に出られるようになることが先だが、自信も含めてどこまで回復しているのかがまるでわからない。残念ながら、ツィッターに投稿されたあの短いビデオに、答えはなかった。

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