浅田真央さん「今後も滑りで感謝の思い伝えたい」
今年4月に現役引退した浅田真央さん(27)がこのほど、東京都千代田区にある日経ホールで行われた睡眠に関するパネルディスカッションに出席した後、日本経済新聞社の取材に応じた。一問一答は以下の通り。
――8月まで主宰するアイスショー「THE ICE」に専念していましたが、その後はどうしていましたか。
■スケート通じ皆さんに恩返し
「スケートから離れて料理教室に行ったり、英会話を習ったりしました。いろいろなものを見て、考える時間があって、誕生日(9月25日)が近づいたあたりからやりたいことが固まってきました。これからもスケートとともに、スケートを通じて皆さんに恩返ししていけたらいいと思います」
「今まで自分の演技を見て、『勇気やパワー、感動をもらってありがとう』という言葉をたくさんいただきました。そんな応援があったからこそ頑張ってこれたと思います。それに対する感謝の滑りは『THE ICE』が最後でいいのかなって思っていたんです。考える時間をもらって、それも違うなって思いました」
――2018年以降もファンが演技を見る機会を期待してもいいですか。
「はい。自分が動けるうちに、もっともっと自分の滑りを見ていただいて、感謝の思いを伝えられたら、うれしいです」
――まずは12月にホノルルマラソンを走りますね。
「『こうなりたい』という夢はあるんですけど、その過程の一つとしてマラソンがありました。週2回、コーチについて10キロ走っています。レースまでにはハーフマラソンを2回走ります。最初に10キロを走ったときはぐったりしました。それに膝が悪かったので不安もありました。でも、走り方を教えてもらっただけで体、脚の疲れ具合が変わったので、一気に自信はつきました」
「スケートは平日、毎日練習しています。東京だったら朝イチで滑り、ホノルルにもレースの数日前に入るのでスケート靴は持っていきます。もちろん、スケートにささげる時間の比率は現役時代とは全く違います。その分、違うものを見たり体験したりして、それをスケートの感性や表現にプラスしていけたらいいと思います」
「マラソン以外にも、滑る企画があるんです。これもチャレンジになるんじゃないかなって思います」
――忙しそうですね。眠れていますか。
「現役時代より不規則ですね。でも休みはあります。引退しても寝る前にやっぱり『あしたは何をしようか』と考えているんですよ。現役時代は最低8時間は寝ていたけれど、今は体を動かすわけではないので、6時間でもいいかなって思いますが。どこでも寝られるタイプなので、車中で30分寝ることもできるし。ただ、慣れている仕事ではないので、違うところで(気持ちや体が)張ったりしてはいます。それも新鮮ですね。夜更かしも少しするようになったし。ただ撮影の前は顔に影響するので、なるべく早く寝るようにしています」
――18年2月には平昌五輪があります。フィギュアスケートは見ていますか。
「テレビでやっていれば見ます。『わあ、こんなふうに私もやっていたんだな』って新鮮です。現役時代は、男子の競技日程が先のことが多いので、『(高橋)大(輔)ちゃんがメダルを取ったから、女子も続くぞ』と、こんな気持ちで見ることが多かったんですけれど、今はまったく違います」
「平昌五輪の時期は日本にいると思います。練習しているかな」
■昌磨も攻めて挑戦してほしい
――昨季の世界選手権銀メダリスト、宇野昌磨(トヨタ自動車)が気になりますか。
「初めてリンクに遊びにきたときから知っているので、母親のような気持ち。五輪よりもまずは(代表選考会の)全日本選手権です」
「昌磨も小さなころからスケート中心の生活でした。私が『スケートは楽しいよ』と誘ったので、トップにいけなかったらどうなっちゃうかな、とちょっと考えましたけれど、日本のトップの一人として頑張ってくれているので、うれしいです。あれだけ男子がレベルが上がるなか、昌磨もついていって頼もしい。自分も攻めて挑戦してきたからこそ、昌磨にも挑戦してほしいと思います」
(聞き手は原真子)