大阪17区 構図一変 戸惑う有権者
「相乗りVS.維新」 堺市長選が余波
衆院選(22日投開票)の大阪17区(堺市中区など)で議席を争う各陣営に、9月の堺市長選の余波が及んでいる。自民党や共産党などが事実上の相乗りで推した現職が、日本維新の会傘下の「大阪維新の会」の候補を下した市長選に対し、衆院選は3党いずれも候補を立てた。有権者からは「各党の立場が理解しづらい」との声も。敗北を引きずりたくない維新だけでなく、他党も市長選のイメージ払拭に懸命だ。
9月24日投開票の堺市長選では、自民、共産などが支援した現職の竹山修身氏が、大阪維新の会元府議の新人候補を破って3選を果たした。自民は二階俊博幹事長ら幹部が応援に入り、共産も市民団体や政党機関紙を通じて支援した。
一方の衆院選は、自民が前職の岡下昌平氏(42)、日本維新の会が前職の馬場伸幸幹事長(52)、共産が新人の藤本幸子氏(42)と、それぞれ公認候補を擁立し、三つどもえの戦いとなっている。
2014年の前回衆院選で小選挙区の議席を得た馬場氏だが、お膝元の市長選での敗北に対する陣営の危機感は強い。「党勢がそがれたのは確か。背水の陣で臨むしかない」(維新幹部)
12日朝の堺市中区での街頭演説で、消費増税を進める自民への対決姿勢をアピール。終了後は記者団に「市長選では政策の異なる自民と共産が連合軍で戦ったが、衆院選が近づくとバラバラになった」と述べ、他党の離合集散ぶりを強調した。
対する岡下氏、藤本氏の陣営も、市長選で自共が歩調を合わせた事情に無神経ではない。岡下氏は、維新と小池百合子東京都知事が代表を務める希望の党が、大阪と東京で候補者をすみ分けた戦略を批判。「選挙を有利に戦うために協力しているだけ。そんな政党に国の将来は任せられない」と声をからす。
藤本氏は「市長選では現職の実績を評価した。自民と協力したわけではない」とかわしながら、街頭で反政権や憲法改正反対を強く訴え、他候補との違いを際立たせる。
堺市長選とは構図が様変わりした衆院選に対し、有権者の反応は様々。堺市西区に住む自営業の男性(70)は「選挙のたびに手を組んだり対立したり、政党に一貫性がないのではないか」と話し、中区の主婦(60)は「政党の立ち位置が整理にしくい」という。
一方、同区の別の主婦(61)は「市政と国政では求めるものが違う。衆院選は消費増税のあり方など、各党の政策を見比べて投票先を決めたい」と冷静に受け止めた。