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ムグルサ「コートで圧倒したい」 攻撃的テニスの源

女子テニス世界1位

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テニスのウィンブルドン選手権で今季、女子シングルスを制した23歳のガルビネ・ムグルサ(スペイン)が9月11日付の世界ランキングで1位になった。1975年に現在のランキング制度を導入してから24人目の世界1位で、スペインの女子選手としては95年のアランチャ・サンチェス・ビカリオ以来2人目になる。東京・有明テニスの森公園で開かれている東レ・パンパシフィック・オープン(16~24日)出場のために来日したムグルサに話を聞いた。

男子シングルスの世界1位はラファエル・ナダル(31)。男女ともに同じ国の出身者が世界1位になるのは2003年の米国(アンドレ・アガシ、セリーナ・ウィリアムズ)以来だ。「どの選手もいつか世界1位になるのが目標だから、うれしい。しかも大好きな東京に世界1位で来られた。自分よりも(世界ランクが)上に誰もいないのは変な感じもするけれど、いい気分だわ。できるだけ長い間、トップでいたい」と話す。ちなみに「大好きな東京」というのはリップサービスではないようだ。本格的にツアーを回り始めた12年以降、足首をケガした13年を除けば毎年東京でプレーしているのだ。

1年前の私と今の私では全然違う

この1年は苦しい時期も長かった。昨年の全仏オープンで四大大会を初優勝、世界ランクも2位まで上がった。しかし、その後、勝てない時期が続き、今年のウィンブルドン選手権前は世界15位までランキングを落としていた。「四大大会を勝つというのはすごく衝撃的なこと。初めて勝ったときはどれほどすごいことで、何が起こるのか全くわかっていなかったから、注目されることに戸惑ってしまった。2回目の四大大会優勝も衝撃的だったけれど、状況は理解できたから大丈夫だった。1年前の私と今の私では全然違う選手だと思う」。今年はウィンブルドン選手権の約1カ月後に米シンシナティで行われたプレミア大会も制している。

女子選手も長身のプレーヤーが増え、182センチという身長はそれほど珍しくはないが、ムグルサは際立ってスリムだ。しかし、その外見からは想像もつかないほどの強打の持ち主で、攻撃的なプレーをする。16年の全仏決勝でセリーナ・ウィリアムズ、今年のウィンブルドン決勝では姉のビーナス・ウィリアムズ(ともに米国)と対戦し、強打の打ち合いを最後はパワーで制している。そのパワーはどこから来るのだろうか。「まず私はコート上では(相手を)圧倒したいタイプ。だってコート上には2人しかいなくて、どちらかしか勝たないのだから。こうした攻撃的なプレーが性格的にも合っていると思う。スペイン選手の中では珍しいタイプだけれど」

子供のころからこうした攻撃的なプレーをしていたわけではない。クレーコートが多いスペインでは「子供のころに徹底的にフィットネスを鍛える。だから伝統的にフィジカルが強い選手が多いのでしょう」。それがフットワークを生かし、守備をベースにした粘り強い選手を生み出す。ムグルサも小さなころはそうだったが、「成長期に身長がどんどん伸び、それにつれて腕も長くなっていった。スペインの選手らしいプレーが難しくなっていき、体の変化に合わせて今のような攻撃的なテニスをするようになった」。

笑顔ほど大切なものはない

コートを離れるとムグルサは陽気で、笑顔が印象的な選手だ。不機嫌な顔で現れることがほとんどない。「もちろんつらい時期もあるし、いつも何かと格闘している。でも、それは内に秘めておくもの。一晩明けたら、また違うチャンスがあるだろうし、笑顔ほど大切なものはないと思うから。これはスポーツなの。悩みや格闘することがあって(当然であり)、それらは泣き叫ぶようなものじゃないと理解しないと」

この明るさはベネズエラ人の母親譲りかもしれない。父親はスペイン人だが、ムグルサはベネズエラ生まれ。だから、南米でも人気がある。「(6歳でスペインに渡ってから)ベネズエラに行く機会はないけれど、親戚もいるし、テニスを始めた国だし、親近感はあるわ。南米の人たちはどういえばいいのかしら、面白く、冗談を言うのが好きな人たちだと思う。同じラテンの国でベースは似ているけれど、スペイン人はそういう気質はあまりないのよね」

セリーナ・ウィリアムズ、マリア・シャラポワ(ロシア)に次ぐ世代をけん引するムグルサ、20年東京五輪も「もちろん楽しみ」にしているそうだ。

(聞き手は原真子)

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