ボクシング久保、初防衛失敗 階級転向を視野
3日に京都市の島津アリーナ京都で行われた世界ボクシング協会(WBA)スーパーバンタム級タイトルマッチで、真正ジム(神戸市)所属の王者、久保隼はTKO負けを喫した。京都出身者で初の世界チャンピオンとして臨んだ凱旋試合で王座から陥落。この悔しさを再起への糧にできるか。
難関とされる初防衛戦に「自分のボクシングを貫いた方が勝つ」と臨んだ。身長、リーチともに挑戦者のダニエル・ローマン(米国)を10センチ上回る利点を生かし、右のジャブでけん制しながら距離をとり、カウンターで左ストレートを狙う青写真を描いていた。
だが、3回に強烈なパンチをもらうと、鋭く踏み込む挑戦者の圧力になすすべがない。ボディー、フックと連打を浴びて7、8回にダウン。9回は見かねたレフェリーが試合を止めた。
キャリア13戦目での初黒星。真正ジムの山下正人会長らに肩を抱かれてリングから引き揚げる際には、涙がほおを伝った。言葉を発しなかった本人に代わり「ちょっと相手を見過ぎた。相手(のペース)に合わせすぎたかな」と振り返った山下会長は「気持ちのダメージも大きいと思う。そこをしっかりケアして、もう一度つくり直して臨みたい」。今後は1階級上のフェザー級転向も視野に入れて出直す。
南京都高(現・京都広学館高)の先輩である山中慎介が8月にベルトを失った会場で、久保も苦汁をなめた。世界3階級制覇を果たした長谷川穂積氏は、ジムの先輩。同じサウスポーとして、2人の大先輩の系譜に連なる男とも言われてきた。今回の試合を前に「ここで終わりじゃない。今後に生かしたい」と話していた久保。真価が問われるのはここからだ。
(常広文太)