優勝候補筆頭に松山の名も 全英オープン20日開幕
ゴルフジャーナリスト ジム・マッケイブ
もしも歴史が道しるべとなるのだとしたら、それは多くの場合でそうだが、20日からロイヤルバークデールGCで行われる男子ゴルフの今季メジャー第3戦、全英オープン選手権の勝者は将来、ゴルフの殿堂入りを果たすような選手ではないだろうか。
過去、リバプールの北に位置し、サウスポートという海辺の町にあるロイヤルバークデールGCで全英オープンが行われたのは9回。勝者にはずらりと名選手が名を連ねている。
ベーカーフィンチ以外は全員がメジャー大会を複数回制した。将来、ハリントンが殿堂入りすれば、やはりベーカーフィンチ以外、すべて殿堂入りすることになる。簡単にいえば、運だけでは抜け出せず、実力のある選手でなければ勝てないということか。
■トップ選手ら調子上向かず
ただ今大会前、世界ランキング1位のダスティン・ジョンソン(米国)、4位のロリー・マキロイ(英国)、6位のジェーソン・デー(オーストラリア)ら将来の殿堂入りが現段階で確実視されるような選手の調子が上がらず、そろって不安を抱えたまま大会初日を迎えようとしている。
また、リッキー・ファウラー(米国)、昨年の全英オープンを制したヘンリク・ステンソン(スウェーデン)、アダム・スコット(オーストラリア)、ジャスティン・ローズ(英国)らのスター選手もこのところ、精彩を欠き万全ではない。
調整の時間がもう少しあれば、という選手もいるはずだが、だからといって、彼らは言い訳のしようがない。毎年7月半ばになれば、全英オープンがやってくる。そして状態が悪かろうが、ポットバンカーが苦手だろうが、めまぐるしく変わる天候に手を焼こうが、全英オープンは選手らを容赦なく振り落としていく。残ったものだけがクラレットジャグと呼ばれる優勝トロフィーを手にし、歴史に名を刻むことができるのだ。
本命不在の中、注目の選手を何人か挙げてみるが、1976年にロイヤルバークデールGCで全英オープンを制したジョニー・ミラー氏(米国)は、優勝候補筆頭として日本の松山英樹を推した。
「彼こそが今、世界のベストプレーヤーだ」
松山は今年、マスターズで11位タイに入った後、全米オープンでは最終日に猛チャージで2位タイに食い込むなど、メジャー最高位につけた。全英オープンでは13年の6位タイがベストだが、彼はすでにメジャーで十分に戦える、いつ勝ってもおかしくないというポジションにいる。ミラーもそう確信しているからこそ、彼の名前を挙げたのだろう。
状態そのものがいいのが、全米オープンで4位だったトミー・フリートウッド(英国)だ。バークデールの近くで育った彼は、全米オープンを含めた直近の4試合で1勝を挙げ、残り3試合すべてでトップ10入りしている。地元の声援を味方につけられれば、面白い存在だ。
■スピース、視界にメジャー3勝目
ジョーダン・スピース(米国)も6月下旬に行われたトラベラーズ選手権をプレーオフで制して乗り込んだ。全米オープンでは35位タイと低迷したが、15年の全米オープン以来のメジャー3勝目をしっかりとその視界にとらえている。
そんな中、特に視線を集めるのがマスターズを制したセルヒオ・ガルシア(スペイン)ではないか。彼はリンクスを得意とし、過去16年、全英オープンではトップ10が10回ある。また、ここ3年は14年から順に2位タイ、6位タイ、5位タイと安定している。グリーンジャケットを手にした勢いを生かし、一気にクラレットジャグも手に入れたいところだろう。
むろん、調子を落としているとはいえ、ジョンソン、マキロイらがどう絡んでくるか。彼らの意地にも期待したい。
なお昨年は最終日にステンソンがフィル・ミケルソン(米国)と一騎打ちを演じ、最終日は63をマークして振り切った。一昨年はザック・ジョンソン(米国)が3人によるプレーオフを制し、タイトルを獲得している。今年もぜひ、最後の1打まで緊迫感のある大会であってほしいものだ。