子どものスマホ使いすぎ防止へ、ケースが「見張り」
ケースからの信号で、スマートフォン(スマホ)を操作できなくするシステムをITベンチャーのMomo(モモ、神戸市、大津真人社長)が開発した。子どものスマホの使いすぎを防ぐ用途を想定する。専用ケースを子供のスマホに取り付け、親が設定した時間を超えるとケースから信号が発信され、すべてのアプリの利用ができなくなる。
開発したシステム「オトモス」はスマホケースとスマホ用アプリで構成している。まず子供のスマホに専用ケースを取り付ける。ケースには電子基板が内蔵されており、スマホとの間でデータをやりとりできるようになっている。特殊な工具を使わないと開かない仕組みで、子供が勝手に取り外すのを防ぐ。万一ケースが取り外された場合には、親のアプリに通知が届く。
親と子どもの双方のスマホに専用アプリをダウンロードし、利用可能な時間などは親側のスマホから設定できる。ケースはスマホの起動時間を計ることができる。事前に決めた時間を超えたときには、ケースが子どものスマホに対して、利用中止の信号を送る。信号を受信するとすべてのアプリが起動できなくなり、実質的にスマホはそれ以上使えなくなる。復旧などの操作も、親のスマホのアプリからできる。
米アップルのiPhone(アイフォーン)のほか、米グーグルのOS「アンドロイド」を使った主要メーカーのスマホ向けのケースも準備する予定だ。ケースは協力工場に委託して製造し、8月末からサービスを始める見込み。
スマホには保護者が子供の利用を制限できる「ペアレンタルコントロール」の機能がある。ただ、対象は特定のアプリの使用に限られていることが多く、アプリごとに設定しなければならないほか、子どもが制限されていない機能を使い続けてしまう懸念があった。スマホ端末の利用を丸ごと時間で制限するというシステムは珍しい。
子ども向けだけではなく、今後は同技術の企業での利用を想定したシステムも開発する。自動車の運転席に「ビーコン」と呼ばれる近距離の無線発信器を取り付け、ビーコンの信号をとらえるとスマホを使えないようにし、スマホを操作しながらの運転を防ぐといったシステムを検討する。
モモは2016年に大津社長が設立した。資本金は565万5000円で従業員は7人。大阪市が支援するベンチャー企業の対象にも選ばれている。
(大阪経済部 香月夏子)
[日経産業新聞 5月22日付]