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トランプ時代のオリンピックのかたち

編集委員 北川和徳

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トランプ米大統領の就任から約2週間。まさかの大統領令の連発に世界中が驚き、困惑している。不法移民が絶えないメキシコとの国境に壁をつくるよう命じ、テロ対策だとして中東・アフリカの7カ国の一般市民の入国まで一時禁止する――。選挙公約を忠実に実行しているだけで、今どき珍しい有言実行の政治家という見方もできるのだが、その導く先に待つのは国と国、人種と人種、階層と階層の対立と分断、憎しみといがみ合いだろう。自由な交流や平和な社会が大前提であるスポーツとオリンピックも無縁ではいられない。

非難と反論には聞く耳を持たないトランプ氏に日本から何を言ってもむなしい気がする。少なくとも米国民の半分くらいは支持しているようだ。ポピュリズム(大衆迎合主義)と批判されようが、民主主義の国で民主的な選挙によって選ばれた大統領には違いない。得票数が多いだけでは勝者とならない選挙制度の不備も指摘されるが、歴史あるルール通りに決まったことである。

米国民が選んだ大統領に従うかどうかは米国の国会、司法、国民が決めることだ。こちらができるのは抗議の声を上げること。対抗するには連帯しなければいけないのに、国益や企業のそれぞれの利益にとらわれていては足並みはそろわない。「自国第一」はトランプ氏だけの考えではないとあらためて感じる。

米国に愛着持つ人も嫌いになる?

間違いなくいえるのは、壁をつくられるメキシコ人も入国を禁じられるイラク人もシリア人もスーダン人も米国が嫌いになるということだ。これまでは米国に愛着を持っていた人だって嫌いになる。彼らと似たような立場に置かれている国々、人々も嫌いになる。今のやり方を続ければ、そのうねりは広がる一方だろう。五輪の開会式では大勢のスターを抱えて常に大歓声で迎えられる米国選手団に、2020年東京大会ではブーイングがいっせいに浴びせられる光景すらあるかもしれない。

グローバル化は経済だけでなく、スポーツの世界でも当たり前になっている。優れたアスリートは軽々と海を渡る時代。外電によると、北米のプロバスケットボールNBAには2人のスーダン出身選手がいて、彼らがカナダでの試合後にどうなるかが懸念されているそうだ。米メディアは大リーグのレンジャーズ、ダルビッシュ有投手のイラン出身の父親が試合を観戦しようとしても米国に入国できないのでは、と報じた。

そもそも米国での国際試合や大会に入国を禁じられた国の選手やチームは問題なく出場できるのだろうか。イランも報復処置として米国民の入国禁止を検討する方針を表明した。イランでは今月、レスリングのワールドカップ(W杯)が予定されている。たとえ米国選手が出場できたとしても、会場はどんな雰囲気になってしまうのだろう。

今年9月に決定する24年夏季五輪の開催地選考にも注目が集まっている。米国はロサンゼルスが名乗りを上げ、欧州のパリ、ブダペストとの争い。今月からは国際オリンピック委員会(IOC)による各都市の視察も始まる。トランプ氏は昨年の大統領選挙に勝利した後、IOCのバッハ会長と電話会談して「(ロサンゼルスの招致活動を)強力に支援する」と伝えている。

だが、今の状況ではIOC委員たちの過半数がロサンゼルスを支持することはありえないと考えている。

五輪憲章は人種や肌の色、宗教、性別や性的志向による差別まで明確に禁じる。多様性を受け入れる社会への貢献は、IOCにとっても大切なテーマだ。平和を希求し世界の融和を目指す五輪の理念と、対立をあおり、競技のためのアスリートの自由な往来すら妨げかねないトランプ氏のやり方は相いれない。

もともと03年イラク戦争の勃発後、IOC委員の間には米国に対する反感が広がっているようにも感じる。12年、16年両大会の招致レースの最終選考では、ニューヨーク、シカゴが序盤の投票であっさり落選した。

敬意や友情、スポーツの祭典から発信を

一方で、IOCと五輪を支えているのは米NBCが支払う巨額の放映権料と、米国企業が多数を占めるスポンサーマネー。それなのに五輪招致も自由にできないなど、大統領には我慢ならないことだろう。ボイコットをちらつかせることはなくても、ツイッターでNBCやスポンサー企業に圧力をかける事態ぐらいは想像できる。

さらに問題なのは、分断と対立に進んでいく動きが世界に広がる兆しがあることだ。英国の欧州連合(EU)離脱決定に続く、米トランプ政権の誕生。欧州では今年、フランスの大統領選挙、オランダとドイツの総選挙などが控え、いずれも「自国第一」を掲げて協調よりも他者の排斥を掲げる勢力の台頭が危惧されている。

世界がそんな風潮に染まれば、五輪はどうなるか。昨年はロシアの国家ぐるみのドーピングが問題になった。為政者にとって五輪は、国や民族の優位性をアピールして間違った愛国心をあおるために利用できる舞台装置にもなる。勝利だけが優先され、ドーピングが横行し、相手への敬意や友情、相互理解とは無縁になったスポーツの祭典など、正直なところ見たくない。

来年は平昌冬季五輪。今の韓国の状況では、こちらも不満を募らせた国民のいら立ちを発散する大会になってしまうのではないだろうか。そして3年後には東京五輪・パラリンピックが迫る。

世界が注目する祭典を通じて、われわれはどんなメッセージを発信すべきなのか。人類の未来にも関わってくる問題と言っても、大げさではない気がする。

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