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よみがえるリオの快挙 ラグビー日本、NZの虚突く

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日本の五輪史上最多となる41個のメダルを取った熱狂の余韻を映すように、リオデジャネイロ五輪のメダリストは帰国後、イベントやメディアへの出演で引っ張りだこだった。ただ、メダルを逃しながらも見る者の記憶に深く刻まれたシーンも少なくない。その一つが、7人制ラグビー男子日本代表がニュージーランドから挙げた金星。背景には逆境を好機と捉えるしたたかさがあった。

対戦相手のほかにも多くの「敵」

ラグビーに限らず、リオ五輪に臨んだ選手たちは対戦相手のほかにも多くの「敵」と対峙することになった。選手村は浴槽がなく、シャワーからお湯が出ない部屋があった。トイレは水圧が弱くて詰まりやすく、トイレットペーパーを流すのはご法度。ただでさえ競技に集中したいところに、生活面であれこれ気を使わねばならないのは誤算だった。ただし、男子日本代表の瀬川智広ヘッドコーチ(HC)は「環境が荒れれば荒れるほどいいと思っていた」と振り返る。

6月の時点で、日本は1次リーグ初戦でニュージーランドと当たることが決まっていた。15人制のワールドカップ(W杯)で過去3度優勝の強国は「普通にやったら10回戦って10回とも負ける相手」(瀬川HC)。だが、7人制ラグビーは今回のリオで初めて五輪に採用され、全てのチームが初出場。加えてニュージーランドは他の団体競技についても五輪の経験が豊富とはいえず、情報が乏しいはず。日本にも増して環境面で戸惑いを感じるだろう、というのが瀬川HCの見立てだった。

そんな相手の隙に付け入るべく、準備は抜かりなく進めた。例えば、ラインアウトではニュージーランドがさほどボール奪取で競らない傾向があったため「あえて後ろ側にボールを投げて、バックス対バックスの勝負をつくることを考えた。その勝負でもCTBの選手が詰めてくるのはわかっていたので、そこにフォーカスしたオプションプレーを用意した」と瀬川HC。

ニュージーランド戦のためだけに数々のオプションを用意し、本番約1カ月前のオーストラリア遠征で効果を確かめた。この遠征では試合以外の要素についても入念に準備した。ウオーミングアップは五輪会場と同じ広さの場所で、ニュージーランド戦の8月9日と同じ時間帯に実施。1日で2試合戦う五輪を想定し、第2試合までの休憩時間も本番と全く同じにした。

本番でも一工夫を施した。前後半が各7分間、合計試合時間が14分間の7人制ラグビーでは、実際にプレーが行われるのはせいぜい6~8分間だという。この「インプレー」の時間を、日本はニュージーランド戦で極力短くするようにした。

プレー時間が少なくなればともに攻撃の機会が減り、接戦になる。「もつれたときに、我々が少しリード、もしくはトライかペナルティーゴールを決めれば逆転できる状況だったら、多分相手は焦るだろうと思った」と瀬川HC。従来、体格で海外勢に劣る日本はテンポ良くプレーして相手を疲れさせるのが理想とされてきたが、今大会ではタッチキックを蹴る前にわざと一呼吸置くなど、あえてプレー以外の時間を多く取った。

この戦略が奏功して試合は接戦となり、14-12で日本が勝利。こうして、昨年の15人制W杯で日本が南アフリカを破った快挙に続く歴史的勝利が生まれた。

大勝利をステップに日本は1次リーグを突破し、準々決勝ではフランスを撃破。その後は準決勝でフィジー、3位決定戦で南アに敗れたものの、メダルに迫る4位の結果は十分すぎるものだった。ただ、そこに至るまでの過程は決して順調といえるものではなかった。

代表メンバー発表にちょっとした驚き

7月、日本代表メンバーの発表はちょっとした驚きを含んでいた。順当にメンバー入りするとみられていた山田章仁、藤田慶和(いずれもパナソニック)、松井千士(同志社大)が選外に。日本代表やトップリーグ、大学リーグで多くのトライを取ってきたスピードランナーたちの落選はファンの間で波紋を呼んだ。

一方、メンバー入りした12人は「単純にコンディションとパフォーマンスで選んだ」と瀬川HC。山田はけがを抱え、藤田は同じWTBの福岡堅樹(パナソニック)、後藤輝也(NEC)と比べて選考段階での出来が劣った。松井も万人を納得させるだけの成果を残せなかった。「なぜ山田が落ちた」などとファンがいぶかる一方、チームの成員にとっては順当な結果だった。

むしろ想定外だったのはこの後だ。メンバーが固まったとはいえ、負傷者が出ればその後の入れ替えが可能。日本代表の座が安泰になったとはいえず、練習の出来いかんでは、いつ山田らのように外されるかわからない。けがによる離脱を恐れるあまり、何かしらの理由をつけては強度の高い練習を回避する選手が出始めた。五輪本番が近づいても、自己防衛に走る選手が続出するチームの状態が上がるはずもなく、首脳陣の顔に焦りの色がにじみだす。そこでチームを救ったのは無念の選外となった面々だった。

代表復帰へ望みを捨てない藤田や松井が血眼になってボールを追いかけ、怒とうのタックルを見せる。鬼気迫る練習態度に感じ入った主将の桑水流裕策(コカ・コーラ)が、対照的に精彩の欠ける代表メンバーたちを集めて言った。「あいつらが一番練習しているのに、選ばれたやつはどうだ」。この一言で代表メンバーの目が覚め、「やっとチームが一つになった」(瀬川HC)。場所は事前合宿地のサンパウロ。ニュージーランド戦が10日ほど後に迫ったときだった。

日本は8月11日に準決勝のフィジー戦(5-20)、3位決定戦の南ア戦(14-54)と2連敗し、メダルを目指した戦いを終えた。南アが準決勝で敗れたときの相手は英国。その英国を相手に日本は1次リーグで19-21と善戦している。3位決定戦の相手が南アでなく英国だったら、と悔やんだファンは多いだろう。

「7人制に専念する選手、招集は1年半」

瀬川HCもそうだった。英国との再戦を見越し、フィジーとの準決勝の後にどれだけ体力が残っているかを計算した。だが、願いもむなしく相手は南アに。「ちょっとメダルに手が届きそうになって星勘定をした。その瞬間、神様は見ていました」と瀬川HCは笑う。

メダルを取れたかもしれないと思う一方、どだい無理な話だったとの思いも拭えない。今から4年前、リオへの道を歩み始めた頃は7人制の選手を集めることができなかった。4年間の準備期間のうち「7人制に専念する選手を招集できた期間は1年半くらいしかない。その1年半だけで世界のトップチームを相手にメダルを取るというのは無理な目標だった」と振り返る。

2020年東京五輪ではいよいよメダル獲得が望まれる。一方で、その前年には15人制W杯が日本で開かれる。両方での活躍を夢見る選手がいるものの、この二刀流は体力的に困難な話。どちらかを選ぶとなると、それもまた選手にとっては難しい決断を伴う。東京までの4年弱で7人制に軸足を置く選手をどれだけ集め、鍛えることができるか。瀬川HCは「今回はニュージーランドの虚を突いたが、相手のもたつきに助けられた部分があった。次は別の準備をしてくると思う。そういうところに再び勝つには、リオに向けての4年間よりもやることを徹底させないといけない」と話す。

9月26日、瀬川HCは母校の大阪体育大での講演会で後輩のラグビー部員たちに「皆さん、東京五輪に出るチャンスがあると思います。ぜひ東京で活躍してほしい」と呼び掛けた。リオの成果を東京、さらにはその次へとつなげるためにも、日本ラグビー界を挙げて7人制強化の道筋を描く必要がある。

(合六謙二)

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