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軽い驚き覚えたマンチェスター・ダービー

フットボールライター 森昌利

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土曜日の試合だというのに、水曜日から英国各紙のスポーツ面が「マンチェスター・ダービー特集」で埋まった。その内容は扇情的でさえあった。英国中が特定の1試合にこれほど興奮したのはいつ以来だろう。開幕4戦目だというのに、今季の優勝が決まるかのような雰囲気さえ醸し出した。

ゴール求めるマンC・グアルディオラ監督

モウリーニョ対グアルディオラ。マンチェスター・ユナイテッドとマンチェスター・シティがあり余る富にものを言わせて実現させた世界最高監督のプレミアリーグでの初対決。

「選手にどう準備させるか、どんなパフォーマンスを望むかという部分では2人は非常に似通っている。2人の相違点をあげろと言われたら、グアルディオラが自分のスタイルを貫いて勝利を目指すのに対し、モウリーニョは結果重視でそれほどスタイルにはこだわらないということだろうか」

ダービー前の報道で、そうBBC電子版に語ったのはチェルシー、バルセロナでプレーし、2人の監督に仕えたアイスランド代表FWグジョンセンだった。

この言葉を意訳すると、モウリーニョは対応型の監督だということだ。相手を研究した結果、勝ち点を奪う確率が高いと判断すれば、システムや布陣を変えて試合に臨む。そして、その基盤には規律の高い守りがある。

サッカーは基本的に得点が困難なスポーツだから、試合をコントロールするという見地からすれば、失点を防ぐ方が得点を狙うより確実だ。まず、負けないという状況をつくる。失点を0にすれば、最悪でも勝ち点1は奪える。モウリーニョは実に現実的な監督だ。

一方、グアルディオラのサッカーは愚直なほど攻撃的だ。ゴールを奪わなければ勝てない。彼のサッカーからは強迫観念にも近い、そんな信念がにじみ出ている。まさしく理想を追い求めるタイプの監督だ。

相手に簡単にボールを奪われることが何よりも嫌いだというグアルディオラはボールの保持率を上げることで相手に得点させないと考える。

現実派のマンU・モウリーニョ監督有利?

しぶとい現実派とひたすらゴールを追い求める理想派。両者のスタイルの違いについて考えを進めると、試合前の体感としては、守備重視の対応型であるモウリーニョが有利ではないのかと思った。

グアルディオラのスタイルを会得するには才能と修練が不可欠で、ある程度時間がかかる。

かたや結果重視のモウリーニョは、この一戦に絞って最良の戦略をチョイスできる。例えば守りを固めてクオリティーの高いカウンター。今季のマンチェスターUの最前線には怪物イブラヒモビッチがいる。

勝敗のカギは、就任わずか3か月で、どちらがチームの潜在能力をより多く引き出せるか。だとしたら、それは失点を抑え、サッカーの型にこだわらないモウリーニョに分があるのではないか。しかもグアルディオラは得点源のアグエロが3試合の出場停止で使えなかった。

ところが試合は、前半に圧倒的な力の差を見せつけたグアルディオラのマンチェスターCが制した。

軽い驚きがあった。わずか3か月でグアルディオラの哲学とスタイルが浸透していたからだ。

ひと言で勝因を記せば「マンチェスターCはすでにグアルディオラのチームとなっていた」ということになる。もちろん、グアルディオラは「この程度のプレーではプレミアリーグの制覇は確実ではない」と語り、チームが発展途上にあることを示唆している。

開幕前、グアルディオラは太めの選手に減量を命じた。指定する体重に落とさなければ、練習に参加させないという断固としたものだった。

さらに自分のサッカーにフィットしないと判断すると、ヤヤ・トゥーレ、イングランド代表GKでサポーターの人気も高いハートをあっさり外した。

そのうえで選手を徹底的に鍛えた。イングランド代表MFデルフは「これまでのサッカー人生で学んだすべてより、この3週間で監督から授けられたものの方が大きい。彼の指導は信じがたいほど選手を進歩させる」と語っている。新監督へのお世辞を差し引いても、その練習が緻密で濃厚なことが伝わってくる。

チームを牛耳っていたグアルディオラ

全権を与えられ、徹底的な指導を重ね、グアルディオラはチームを牛耳り、クラブ内で最大最強の人物になった。

もちろん、まだ未完で課題もあるが、選手はスリムになり、開幕から驚異的なパスワークと運動量でボールを支配できるようになった。

それはこのダービーのデータを見ても一目瞭然だ。昨季のマンチェスターUのホームのダービーではボール支配率はマンチェスターUが59%に対しマンチェスターCは41%。今回はマンチェスターCが60%で上回った。

モウリーニョはリンガードとムヒタリャンを今季初先発させ、自分の色を出したが、結局この采配が裏目に出た。

マタとマルシャル、もしくは前節のハル戦で決勝点を挙げたラシュフォードより、リンガードとムヒタリャンの方が「守備の意識が高い」という判断だったのだと思う。しかし、この2人の実戦での体力と勘はもの足りなかった。

試合後、モウリーニョは「前半、明らかにこの試合のレベルに達していない選手がいた」と語ったが、それは明らかにリンガードとムヒタリャンを指している。しかし、2人を使うと決断したのは監督自身である。勝敗の全ての責任を負うのが監督の義務であるとするなら、この発言は少々いただけない。

チェルシー時代、それも第一次政権時にはモウリーニョが使う選手はことごとく結果を出した。そして、どんなときでも敗戦の責任は自分(審判を責めることは度々あったが)で負い、選手をひたすらかばった。

だから、選手の掌握力、マン・マネジメント能力(選手の心をつかみ、動かす能力)においてはグアルディオラをしのぐ存在になった。

ところが今回は、選手にすべてを出し尽くさせることにかけては最右翼のモウリーニョが起用した2人が全く動けなかった。そこは本当に解せない。やはりマンチェスターUの監督には計り知れないほどの重圧が掛かっているのだろうか。

タッチライン近くに出て、選手のプレーに一喜一憂し、飛び跳ねまくったグアルディオラ。その姿は情熱にあふれ、バルセロナ、バイエルン・ミュンヘン時代と変わらぬものだった。己をむき出しにしてチームを指揮する様は、新監督が選手とがっちり手を握った証しにも映った。

これは個人的な印象だが、今季のモウリーニョには笑顔が少ない。辛辣な発言で論議を呼ぶようなことを繰り返してきた闘将だが、その合間には必ず人を魅了する子供のような笑顔があった。

モウリーニョの「武器」よどこへ?

そこがマンチェスターUのファーガソン元監督と一致するところだが、この勝負の鬼は笑うことで、それまでの軋轢(あつれき)や悪感情を帳消しにしてきた。そんなモウリーニョの最大の武器である笑顔が少ないのだ。

心から愛したロンドンのブルーズ(チェルシー)を離れ、マンチェスターのレッズへの転向は、やはりそれ相応のストレスが生じるものではないだろうか。

かつて熱烈に愛した女性がそばにいながら、別の女性と一緒になる。男気を感じさせる闘将だからこそ、そんな切なくも割り切れない思いがあるのではないかと想像してしまう。

就任わずか3か月でチームを掌握し、驚異的な早さで自分のサッカーを再構築したグアルディオラが、リンガード、ムヒタリャンを使って守備的に対応しようとしたモウリーニョを粉砕した。

前半の一方的な展開を生み出した勝負の明暗を有り体に語ればそうなる。しかし、その奥底には、どこか開き直れないモウリーニョのジレンマもあったのではないか。そのやりきれない思いが、リンガードとムヒタリャンに「死ぬ気でやらなければ次はない」と思わせる本来の掌握力を半減させ、誤算を生んだ。

監督のわずかな心理的なコンディションが勝負を分けるほど、イングランドにおける強豪クラブの対決は総力戦であり、過酷なものだ。

しかし、偉大なグアルディオラとモウリーニョのダービーは始まったばかり。その初戦をホームで負けたモウリーニョが今後どんな手を打つのか。敗戦をきっかけにポルトガル人の闘魂に火がつけば面白い。

そして、あの笑顔も取り戻し、かつてバルセロナとレアル・マドリードでも繰り広げた名勝負を、ぜひとも伝統のマンチェスター・ダービーでも再現してほしいものである。

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