銀の藤田「ほっとした」 3大会連続メダル
自転車の男子個人ロードタイムトライアル(運動機能障害C3)で藤田征樹(日立建機)が2位に入り、パラリンピック3大会連続、5つ目のメダルを獲得。これまで手にしていない金ではないものの「ほっとしています」。トラック競技ではかなわなかったメダルに手が届いた安堵感をにじませた。
両足義足の藤田が最後の力を振り絞ってゴールラインを切ると、頭上の掲示板には39分30秒41で「1位」と表示された。だが2分後、藤田より遅くスタートしたライバルのクリフォード(アイルランド)が38分21秒79でフィニッシュし、2位に落ちる。
藤田よりも1分以上速いタイムで、「世界選手権王者で尊敬できる選手に負けたということで、納得しています」と淡々と話した。2カ月前のワールドカップ(W杯)でライバルは不調。藤田が優勝していたが、パラリンピックの場で見事にリベンジされた。
海沿いの15キロを2周するコースはフラットで「自分が勝負できるコース」。だが海風も強く、海外勢に比べて小柄な藤田でも抵抗を受ける。パワー勝負となり、「力負け」と認めるしかない。それでも勝負どころとみた最後の5キロでペダルを強く踏み込むことはでき、「準備してきたことは出せた」と胸を張った。
実直な性格のこの人らしく、「世界一にはなれなかったけど、強い相手に負けた胸をはれる結果と(周囲に)報告したい」と話した時は涙声だった。(摂待卓)